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 No.647

三輪 薫(みわ かおる)


No.647 『創る』/キヤノンギャラリーでの写真展 2016/3/20

僕の初めての個展は1976年6月に銀座ニコンサロンで開催したモノクロ写真の心象風景「道道」で、今年の来月にキヤノンギャラリー銀座で開催するデジタル撮影と伊勢和紙による日本の自然風景をメーンにした「こころの和いろ」展でまる40年目となる。振り返れば年月が経つのは早いもので、僕も今年の6月には68才を迎える。二十歳過ぎに写真の世界に飛び込んだ当時には今の年齢の自分はとても想像できなかったが、改めて自分を見つめると実に不思議な気分になってくるものだ。

実家にいる頃に日本の伝統工芸の分野に携わっていたことも影響するのか、写真で作品を作り始めた頃から、何となくだが作品の最終はプリントで、自分にとっては和紙プリントがいいのではないかと漠然と思っていた。30数歳でフリーになり、日本の自然風景を撮り始めた頃には和紙プリントへの願望が強くなって来た。写真学校の教務課に勤務していた頃に、コダック、富士写真フイルム、コニカなどに銀塩のバライタ印画紙と同様の耐久性の高いプリントがカラーでも出来ないかと尋ねたことがあるが、当時は各社から無理だとの返答しかいただけなかった。しかし、自分が65歳くらいになったら実現するような気がして、実現して直ぐには作風を対応させる付け焼き刃的なことは出来なく、今から始めようといろいろ研究を重ねてきた。

フリーになった頃に当時は在京されていた伊勢和紙の大豐和紙工業(株)社長の中北喜得さんと出会い、2000年頃には伊勢和紙Photoシリーズの開発にも関わり、2003年にこの和紙を使った初めての和紙プリントによる個展「風香」が中北さん方々の尽力もあって実現した。以後和紙プリントの個展も数多く開催でき、大半伊勢和紙を愛用している。監修を担当する愛好家の方々のグループ展や個展などでも伊勢和紙を多用するようになってきている。フィルム撮影での和紙プリントの研究で多銘柄のポジフィルムを使い分けていて、2001年に銀座のキヤノンサロンで開催した「風色」展では11銘柄あって我ながら驚いたものだ。今回の「こころの和いろ」展では何と15銘柄の伊勢和紙を使い分けている。展示サイズも様々で、450mm×450mmの額装から、四八判(1,100mm×2,400mm)の手漉き和紙まであり、変化のある展示も楽しんでいただけるようにする。

今月発売のカメラ誌の下記に作品なども掲載。
・フォトコン 4月号 フォトコンGの項に5ページ(168-172ページ)
・学研 CAPA 4月号 写真展特選街の項に1ページ(111ページ)

ご覧いただければ幸いです。

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