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 No.648

三輪 薫(みわ かおる)


No.648 『創る』/三輪薫写真展「こころの和いろ」 2016/4/10

僕の30回を超える個展の内、多くが銀座で開催してきて、今回は20回目となる。キヤノンのギャラリーでは4回目で、前回は2007年だったので9年ぶりの開催になる。銀座界隈では京セラ・コンタックスサロンサロン東京が閉館になってしまった2009年3月に開催しているので7年ぶりの開催とも言える。僕の初めての個展が1976年6月に開催した銀座ニコンサロンだったこともあり、銀座での個展開催は特別な思いがある。

以前の銀座にはメーカーギャラリーも多くあった。銀座ニコンサロン、キヤノンサロン(現キヤノンギャラリー)、富士フォトサロン、ナガセフォトサロン(コダックフォトサロン)、京セラ・コンタックスサロンサロン銀座、写真弘社のギャラリーアートグラフなどラボが運営するギャラリーもいくつかあり、銀座界隈だけでも写真展を巡るのも便利だった。現在は、ニコンサロン、キヤノンギャラリー、リコーイメージングスクウェアと少なくなってしまった。しかし、銀座には画廊も多く、作品を見る機会が一杯あるのが魅力だろう。

14日からキヤノンギャラリー銀座で開催する「こころの和いろ」展だが、半切と全紙の額装作品21点の内、20点を新発売になった Canon imagePROGRAF PRO-1000 を使ってプリントしている。和紙銘柄も作品によって使い分けていて、最終的には14銘柄になった。和紙は原料の素材によってプリントの仕上がりが結構違い、それを生かすと面白い。白っぽい晒した和紙が主流だが、原料の色が残る未晒しの和紙も味のある表現が出来る。銘柄によっては繊維を残して漉いた和紙もあり、これも面白い。今回も落水仕様といって穴をわざと開けて模様にして漉いた和紙を合体させたものも2点使っている。和紙の特長には行灯などに使われているように透過光で眺めることもできる点もあり、薄い和紙はすけて見える。この特長を引き出しながらプリントした2枚を重ねて額装した作品が2点、背中合わせで吊す作品が2点あり、ギャラリーの中央に下げる。キヤノンギャラリー銀座は通りに面していて、外光も入ってくる。この光りと会場内のスポットライトをミックスさせて演出しようと思っている。

今回の展示は、半切と全紙の額装作品が21点、860ミリ幅の畳1枚分くらいの大きさの吊り作品が7点、四八判(1,100mm×2,400mm)が1点といろいろあり、楽しんでいただけると思う。

日本の自然には微妙な機微に溢れ、心に余韻が残る魅力がある。鮮やかでもドラマチックでもない、やさしくさりげない表情が好きで、カメラで日本画を描くような作風で伊勢和紙に描いた写真展である。この日本的な色で描いた「こころの和いろ」の世界の表現には和紙がよく似合い、上手く受け止めてくれる。みなさん、是非お越し下さい。

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