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 No.656

三輪 薫(みわ かおる)


No.656 『創る』/デジタル機器の進化と和紙プリント展 2017/9/5

「わの会」は1998年10月下旬に乗鞍高原で開催した『集いの会』で発足し、現在19年目に入っていて時の流れの速さを感じる次第です。発足当時の写真界はまだまだ銀塩のフィルム撮影全盛の時代でした。しかし、2年後の2000年10月にはキヤノンから有効画素数が約311万の EOS D30 が発売になりました。販売価格は当時のキヤノン EOS シリーズの最高峰 1v よりも高く、34-35万円くらいだったと記憶しています。それまでは個人でいくら頑張っても入手出来る価格でのレンズ交換式のデジタルカメラはなく、確か数百万円はしたはずです。だからこそ、30万円を軽く超えるビックリの価格のカメラでしたが、デジタル写真を始めるならばと思い切って購入しました。この画素数を現在考えると随分少ないと思われるでしょうが、当時としては画期的なカメラでした。それまでのレンズ交換式のデジタルカメラはかなり大型でしたが、EOS D30 は画期的とも言える小型・軽量化されたボディーで驚いたものです。2年後の2002年に発売の EOS D60、2003年の EOS 10D と買い続け、それらのカメラで撮った作品で、2004年にキヤノンサロンで伊勢和紙による個展「風色-?」を開催しました。前年には長年の念願だった和紙プリントによる初めての個展「風香」が多くの方々の尽力と協力によって実現出来ました。この個展では中判のコンタックス645で撮ったフィルムでの作品でしたので、次の和紙プリント展は、是非デジタルカメラで撮ったもので開催したいと考えていたのです。2005年にはもっと小型軽量になった EOS kiss Digital N を購入しました。草花のクローズアップ撮影では手持ちで撮ることが大半です。右手でカメラを、左手でそっと草花の茎などを持って片手で撮るには、カメラ機材は小型軽量がベストです。現在の草花の撮影で EF50mm F1.8 の超コンパクトで軽量の単焦点レンズを愛用しているのと同じ理由です。このボディーだけで撮ったのではありませんが、2007年にキヤノンギャラリー(2005年4月に銀座5丁目から銀座3丁目に移転し、キヤノンサロンから名称変更)で全て伊勢和紙による花の個展「花逍遙-?」を開催しました。

2005年には待望だったフルサイズの EOS 5D も発売になり、大きなサイズの伊勢和紙での作品作りへの期待感もあり、購入しました。このカメラもEOS D30と同様の価格でしたが、たった5年での進化に驚いたものです。しかし、1280万画素でしたから、現在ではちょっと物足りなく感じるでしょうね。以後、EOS 40D、 EOS 5D Mark ?、EOS 60D、EOS 6D と入手を続けてきました。昨年から時々 EOS 5Ds/5DsRと5D Mark ?、EF24-105mm F4L IS ? USMを借り、試写を続けてきました。今年の5月には手持ち撮影で感触がよかった EOS 5D Mark ? を購入し、現在最も使用頻度が多い EF24-105mm F4L IS USM を新型の?タイプに買い換えました。

しかし、デジタル時代に僕にもたらしてくれたのは撮影機材の進化よりも最終作品と考える理想的なプリントが実現出来たことだと思っています。長年夢に描いてきた和紙プリントによる作品創りの写真展が、数十年前に思いついた時期よりも10数年も早く実現できたのですから、この喜びは何よりも大きなものです。僕が監修する写真展では様々な用紙を使い分けています。今月のキヤノンフォトクラブ東京第1展、来月の岸本登巳子さんと?田一彦さんの個展、12月に開催の東急セミナーBE青葉台展とキヤノンフォトクラブ東京第5展もご期待下さい。僕の伊勢和紙ギャラリーでの巡回展にも是非お越し下さい。皆様のご来場をお待ちしています。

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