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 No.12

三輪 薫(みわ かおる)


No.12 『個展開催は難しいか?』 2000/12/24

23日、黒田一郎さんの個展が終わり、会期中は3.000人近い人達が来場し、評判もよく、住まいの水戸へと帰る黒田さんは大満足の表情だった。最終日に会場に集まったクラブの仲間達は、「こんなに素晴らしい写真展を見せられると、自分などは個展の開催は難しい」と言っていた。確かに、そのような思いを抱いても仕方がないと思われるレベルの高い作品で、全てに関わった僕としても満足感の高い個展だった。しかし、撮影を十分に重ねている人には素晴らしい作品も多く、個展は夢ではない。今回、個展を希望した黒田さんをけしかけたのは僕であるが、結果的に成功したのは、本人にやる気があったからだ。

まず、審査を受けるために黒田さんの意向を聞きながら数百枚の中から40枚をセレクトし、テーマに沿った作者の言葉を添えて提出。展示作品は改めて作者が希望作品をセレクトし直したものを見て、その言葉(作品展会場の挨拶文)と作品を照らし合わせ、作者の意向を聞き、レイアウトを同時に考えながら約1.000枚の作品群の中から展示作品を選考、決定した。作品だけを見て僕の独断で決めると作者の意思が何処かに行ってしまう恐れがあるからだ。セレクトする人に全てを任せ過ぎると、自分の個展ながらまるで他人の個展を開催しているように思えることもある。

作品セレクトや会場構成、プリント指示などは、プロとアマとは格段の違いがあり、それなりのプロに一任するに越したことはない。また、一任するプロと作者との関わりも大切である。黒田さんは写真教室、クラブ、個展を目指す小人数のワークショップ等、全ての講師を務める僕のアドバイスを受け続けている。そのためにお互いの理解が深い。そのような関係の中でこそ満足感の高い写真展になると思っている。アマチュアの中で多種のクラブや写真教室で多くのプロなどの指導を受けている色気の多い人がいる。いろいろなところで学ぶのはよいことではあるが、自分のことをよくわかった上で受講しないと講師による作品の見方の違いに振り回される危険性もある。個展への早道は自分の方向性とマッチしたプロの指導者を選び、アドバイスを素直に受けることである。また、撮影後に自分の作品をしっかりと見詰め直すことも大切で、時には全作品を見直すことも必要かと思う。失敗作の中から作画と表現の発見もあり、見過ごした作品を見つけることも出来る。最初は撮影した全部を講師にさらけ出し、作画の欠点を指摘してもらったり、自分では気がつかなかった自分独自の世界を見つけてもらうことも必要だ。レベルが上がってきたら自分の思いなどをうまく表現できたと思える作品を講師に見せ、セレクトしたものをファイルし、500〜1.000点ストックすれば個展は必ず実現する。完璧な個展などを考えるよりも、個展の回を重ねることで自分の世界を知ることが出来ると思えば気が楽である。大げさに考えるよりも挑戦したほうが得である。

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