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 No.20

三輪 薫(みわ かおる)


No.20 『写すこと』/続編7『ズームレンズは単焦点より優れているか』 2001/3/10

一昔前のズームレンズは、明らかに単焦点レンズとは違い、見劣りのする描写が当たり前であった。しかし、現在のレンズは、四つ切程度のプリントでは単焦点レンズで同時撮りをして比べても判別できないほどよい描写をしているものが多い。高級ズームレンズになると尚更であり、もっと大きなサイズに引き伸ばしても見応えのある再現性を見せる。だからこそズームレンズが重宝されていると言えなくもない。今やそれらの違いは開放絞り値のボケ味くらいのものだろうか。当然、開放F値は単焦点レンズのほうが明るいものが多い。しかし、望遠レンズになるほど被写界深度も浅くなり、厳密に言えばフィルムの焦点深度も考えるとF1〜2くらいまでの長焦点や望遠レンズではピントを厳密に合わせることは難しい。だからこそコンタックスRTS?。が開放F値の明るい単焦点レンズの性能を充分に発揮できるよう、フィルムの平面性を保つバキューム機構を標準装備したのである。だが、この効果が生きるのは近距離の開放絞り値近くで撮った被写界深度や焦点深度が浅くなる場合に限られると思ってもよい。一般的には多少は絞り込み、中景や遠景の場合には被写界深度や焦点深度が深くなってバキューム効果が充分生かされているとは言えないからである。以上のことで分かるように開放F値の明るいレンズやバキューム機構内臓のカメラは、近距離でのボケ味を最大に生かすことが機材を使いこなし、レンズの特製を生かすコツともなってくる。それらの必要もない撮り方をする場合には、開放F値が暗いレンズほど開放絞り値でも被写界深度も深くなり、ピントの山が外れることも少なく、『ズームレンズでも結構!』と言うことになるわけだ。

しかし、僕のコンタックスのメインボディーは?。型で、2台所有している。手に馴染むフィット感、扱いやすさや信頼性などが高いからである。また、レンズも用途によって使い分けるため、開放F値の明るいタイプと暗いタイプの2種を多数揃えている。そのような使い分けをするためには、どちらのレンズもクオリティーの差があっては意味がない。その点ツアイスレンズは差がほとんど無く、安心して使い分けが出来るのが嬉しい。

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