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 No.23

三輪 薫(みわ かおる)


No.23 『生きること』/続編3「自然との共存共栄」 2001/4/3

日本の素晴らしく美しい自然と文化は、世界に誇れるのものである。“昔は良かった!”などと言わずに済むよう、大切に守り、保存したいものにあふれている国なのだ。しかし、戦後の高度成長の短期間にも関わらず、乱開発などで失われた自然は実に膨大だと思う。大気の悪化も美術文化財を侵し続けている。

先祖から受け継いできた日本の自然は、今や日本人のものだけではなく、世界の人々や地球に住み、暮す動植物全体のものと考えたい。文化財も然り。我々が受け継いできたものは、出来るだけ多く子孫に残すべきだと思う。今の時代で、大半を食いつぶしてよい理由は見当たらない。世界遺産として登録され始めた自然や文化財が増えているのは喜ばしいことだ。

自然風景を撮っていると、人々が集う自然には、缶やペットボトルや撮影後の残骸などが散らばり、踏み入ってはいけない所には足跡が残っていることもある。我々が心しなければならないのが、土に帰らない異物を残さないことだ。以前、冬の摩周湖で撮影していた時、足元に転がっているゴミを集めたことがある。マーケットのポリ袋で、なんと2〜3個分にもなってしまい、ビックリした。大半は観光客が残したものだったが、カメラマンのお土産も目立った。

現在、ダム・堰・ゴルフ場・産業廃棄物処理場なども問題となっている。生活が潤う中、特に自然と共存共栄を計るには、山積した難しい問題と取り組まねばならない。目先の利益や利便性だけを追いかけていると、偉大な自然のしっぺ返しが待っていることもある。

造っても数百年も役に立たなく、結局は自然破壊の異物となってしまうものもあると思う。耳元過ぎれば、と言う工事が後を絶たない。一度自然をいじり、とんでもない大きな人工物を造ってしまうと、例え取り壊しても、元の自然に復帰させるのは不可能に近いのだ。

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