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 No.35

三輪 薫(みわ かおる)


No.35 「写すこと」/創りが絶品な機材−1 2001/7/12

設計がコンピューターになり、工作機械も進歩して性能は上がったが、何故か写真機材や用品の質・手触り感などの満足感が昔より高くなったように思えない。僕だけの思いではないだろう。M型ライカやローライフレックス、ライツの雲台、フォコマート(旧タイプ)などの創りは絶品だ。大事に使えば一生物。いや、何代にも渡って愛用・常用出来るだろう。ニコンF・キヤノンF1・コンタックスS2なども、よりカメラらしいカメラだ。手作り家具と同じである。

耐用年数は違うが、ドイツ製の車などにも同じ思いを抱く。僕の愛車は三菱党で、25年くらい浮気はしなかった。2台所有していても全て三菱。ディーラーも認める珍しいことと自認している。が、5年前に初めて浮気し、妻専用?の車をワーゲン・ゴルフワゴンに乗り換えた。先月、鳥海山での撮影会で現地を案内してくれた人の愛車は10年乗り続けていると言うベンツ。内装も含め新車同然に見えた。ゴルフワゴンはクラスとしては大衆車で、大して手入れもしていないまま6年目を迎えているが、イスの座り心地も変わらず、6年目を迎えた同クラスの国産車と同じような、外観・内装の古さを感じない。何故だろうか。

ライツの雲台を分解してみると、その精密な工作・機構に驚く。M型ライカ・ローライフレックス・フォコマート(旧タイプ)の創りは、もう美術品同然のように感じる。僕の愛用引伸機は、フォコマート(旧タイプのAF機構付き)が35mm用と中判用の2台、共に1950年代?の製造品である。ダーストも同様に2台、そして極め付きがイギリス製のデベア8×10インチ版の5108。引伸機用レンズも10数本所有しているが、大半ドイツ製。引伸機に関しては、国産品と比べると雲泥の差があり、国産品はもう玩具に見えてしまうほど。それほど創りに違いがある。国産品は作ったもの、僕が所有の引伸機は創ったもの、と言う思いが感じられる。レンズの描写力(再現性)も同様なものが多いような気がする。勿論、国産レンズにも素晴らしいものがあり、僕も一部だが所有し、愛用している。

僕が初めて購入の引伸機は富士のB型。後期製造のタイプとは頑丈さが違う。サビも来なく、25年ほど使い込んできた。今は、息子が進学した新設高校の予算のない写真部へ寄贈してしまって手元にはない。大切に使ってくれれば、随分長持ちしてくれるだろう。創りと性能の良いものは、信頼感が高く、長年の使用にも耐え、飽きない。

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