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 No.38

三輪 薫(みわ かおる)


No.38 「写すこと」/白黒写真 2001/7/23

今の時代、モノクロ写真を志している人は少数派になってしまった。カラー全盛と言われて久しいけれど、寂しい限りである。以前はモノクロを主体にしていた人でも、今はカラーオンリーの場合が多く、増してや黒白写真を自家処理している人は少ない。何故だろうと考えてしまう。

確かに、プロはモノクロ写真を撮っても、お金にはなりそうもない時代だ。モノクロの仕事は本当に少なくなってしまった。残念だと思う。今や、モノクロの経験が全くないプロも増えていると聞く。モノクロ写真は写真の基礎となるものと考えてきたが、今でも同じ思いである。モノクロを撮り、自分でプリントする行為は、絵画で言うデッサンであると考えている。なのに、プロでも経験がないとは!。音楽や絵画などの分野では考えられないことだろう。

昔は、モノクロで写真の基礎力を鍛えられてきたように思う。その人達が撮るカラー写真と、モノクロの経験がない人達のカラー写真とは微妙に違っているような気がする。色を色としてフィルムの発色特性に頼って出すのが経験のない人、色を自分の色に置き換えてフィルムに託して出せる人がモノクロ経験者、と言っては過言だろうか。

こんなこだわりを持っているほうが実に少数派で、今やアウトロー的な存在になりつつあるようだ。だからこそ、モノクロ大好き人間を応援したくなってしまう。

今月末に、渋谷の「カメラのドイ」7階にあるギャラリー・ドイフォトプラザで、モノクロの写真展が開催され、僕も出品する。富士写真フイルム(株)が発売した高品位バライタ印画紙「レンブラント」を使った写真展である。黒白バライタ印画紙の良質のものが生産中止に追い込まれる中で、とても良い再現性を発揮してくれる嬉しい印画紙の登場である。是非、モノクロ写真の良さと魅力を、この印画紙のトーン再現の素晴らしさを、目の当たりに見て、確認して欲しい。きっとモノクロ写真のとりこになると思う。

来年はワールドカップの年で、4年に1回の「ファインアートプリント展」を開催する予定である。撮り貯めている8×10インチ版の作品展の準備も、そろそろ始めたいとも思っている。

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