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 No.49

三輪 薫(みわ かおる)


No.49 『生きること』/日本の祭り−1 2001/9/6

富山県利賀村で開催の「日本海時代の祭典」の後、9月2日に八尾の「おわら風の盆」に寄ってきた。以前NHKで放送された番組の中では噂通りのもので、特に町流しの哀愁漂う胡弓の音色と浴衣の若い女性の踊りには心惹かれるものがあった。だから期待感は大きく膨らみ、町外れの駐車場からシャトルバスに乗って町中に向かう時はわくわくしていた。

小さな町の狭い町筋は、今や一日に10万人を越す観光客が押し寄せると言う雑踏そのもので、夜が深まるに連れ益々人出も多くなった。午後3時〜11時まで繰り広げられるが、5時〜7時は踊り手達の夕食のため休止。午後7時から再開した輪踊りの人達の大半は、町中ではない特設舞台へ参加していたようだ。勿論入場料も必要。だから狭い町中ながら舞台に上がっていない数少ない踊り手達が何処にいるのかさえよく分からない有様だった。そのような輪踊りには多くの観光客が殺到してしまう。明石市で起きた花火騒動同様の危機感を覚えるような有様にも出会った。祭りを楽しむ雰囲気ではなかったような気がする。深夜まで待てずに、諦めての退散となった。もう、このような時間帯には絶対行く気にならない。今度行く時には、深夜の町流しだけを楽しむことができればと思っている。

いつの頃からか、本来地元の人達の祭りが観光客用の祭りに変身したかに思えるものも多くなってきたようだ。神事やお祝い事が元になっているものが、時代の流れと共に変化しつつある。僕も観客の一人だから仕方がないが、何か寂しい思いをする祭りもある。観光客など目もくれず、祭りに没頭できる主役達が活躍する祭りは別だが、「風の盆」のように主役達が自分の世界に身心共に入り込ませる祭りは、観光客は邪魔な存在であろう。

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