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 No.51

三輪 薫(みわ かおる)


No.51 『生きること』/日本の祭り−3 2001/9/6

「風の盆」のように小さな町の祭りでも、有名になると多くの人達が押し寄せる。商魂逞しい旅行社が全国からお客を連れてくる。地元の人達の祭りが観光化されると、ショービジネス化された祭りに見えてしまうから不思議だ。商店街の人達もここぞとばかりに観光客相手に臨時の店を出し、自分達の祭りを楽しむどころか商売に専念する姿があちこちに見られた。屋台の専門家達はシャトルバス停近くの脇へと追いやられていた。

見たいという観光客の欲求と邪魔されたくない思いの主役の人達、見られる快感に酔いたい人達と、様々であるような気がする。以前NHKで放送された町流しの情景には、自分しかいない想いで胡弓を弾き、踊っていた姿が感じられた。だから、その音色や踊りに心惹かれるものがあったのだと思っている。今回見た踊り手達は自分の世界には入り込めず、何処か冷めている表情だった。踊りを進行させている人と何か打ち合わせをしながら踊っている女性もいた。もう、ここには原点の祭りは存在しないように感じたのは、僕だけではないと思う。ある日突然に観光客が来なくなったら、この主役達はどのような気持ちで踊り、胡弓を弾くのだろうか、興味がある。

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