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 No.53

三輪 薫(みわ かおる)


No.53 『写すこと』/コンタックス645 2001/9/10

京セラ(株)がコンタックス645の発売に際し、ライバルとなるハッセルブラッド用レンズアダプターをアクセサリーの中に加えたのは不思議である。鈍感な僕はひたすら喜んでいたのだが、緻密な計算があるかもしれない。つまり、ハッセルユーザーをもコンタックスの愛用者にと言う思いがあるからだろう。ボディーとアダプターさえあれば、コンタックス645の専用レンズがなくても、とりあえずは撮影が可能だからだ。企業の厳しさも感じるし、そこには京セラ(株)の自信も見えてくる。ハッセルは機種によってはAE化されているがAF化はまだである。しかもAE化されたタイプは高く、ボディーの最高級品は百万円に近い。不足のレンズをコンタックス645で補うと、割安感も高くなる。特にディスタゴン35mmは、ハッセルのビオゴン38mmに比べ超格安となっている。

コンタックス645はRTSなどのシンプルで扱いやすい機構をそのまま645にも適用し、手に馴染むデザインも好感が持てる。また、予算さえ許せばハッセルの半額とは言えないまでも、かなり割安でツアイスの世界が楽しめる。この魅力は大きい。

僕の望んでいた中判カメラのコンタックスは、スクエアサイズの6×6判である。ハッセルやローライを持っていても、別な魅力があるからだ。他の645判カメラも同様だが、ハッセルと比べても大きさには余り違いはない。基本を66判にしてフイルムバックで645に対応してくれれば嬉しかった。今や中判カメラもプリズムファインダーが主流となり、縦位置での撮影にも不便はない。また、ハッセル同様の作りのよいS2のような金属製にも期待していた。そうすればハッセル志望のユーザーも、もっと取り込めたはずである。でも、ハッセル側はほっと一安心していると思う。別な観点から考えると、66判になっていたらイメージサークルも少し大きくしなければならないレンズは、一回り大きく重くなり困惑する人も多いかも知れない。

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