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 No.56

三輪 薫(みわ かおる)


No.56 『生きること』/強硬姿勢と冷静な行動 2001/9/13

知人でニューヨークに赴任していて、今回の事件に遭遇した人がいる。幸いにして難は免れたが、ビルが崩れ落ちるところも目撃したと言う。まさに信じがたく、許すことの出来ないテロである。いや、大統領の言うように戦争かもしれない。このまま進めばまた多くの犠牲者が出ることになり、益々悲惨な現状が待っている。やられたらやり返す、この繰り返しではいつまで経っても市民は安心して暮せない。

警戒していても無防備(?)に近い都市では、今回のような攻撃には対処は難しいだろう。ハイジャックされた飛行機が都市などに向かっていることが分かって、それを防ぐために撃ち落とすことができるだろうか。機内には人が多く搭乗している。犠牲者を少なくするには未然に防ぐことが一番だが、それでは機内の人々は余りにも悲しい。

これからの戦争は、言葉だけにしてもらいたい。十分に分かり合えるまで話し合うのは難しいが、だからと言って強硬姿勢を貫くのはベストではない。過去の戦争で問題が全て解決された事はなく、悲惨な現実を招くだけである。追い込まれれば窮地に立ち、益々相手も攻撃的にならざるを得ないだろう。悪循環である。政治家の難しいところは、どのような場面に遭遇しても、絶えず冷静にことを運ばねばならない姿勢を保てるかどうかである。根気よく話し続ける努力を持ち続けて欲しい。罪のない人々を犠牲にした平和や国の姿勢など、意味のないことと思う。多くの犠牲者や助けようとして亡くなった人達の冥福を祈りたい。

今回の惨劇で非難して助かった人達は、パニックにならず落ち着いて行動していた。高層ビルの非常階段などでパニックが起きたら、先月の明石市の事故以上の結果を招いていたはずだ。難しいことだが、非常事態に直面するほど冷静さを保つことの大切さを教えてくれたような気がする。

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