Toppageへ
 No.57

三輪 薫(みわ かおる)


No.57 『生きること』/テレビ報道と現地の情報 2001/9/13

湾岸戦争の時も瞬時に実況中景のようにテレビで放映された。まるでドラマを見ているような気分を感じたのは僕だけではないだろう。今は世界中で起こった事件等が素早く家庭の中にも伝えられる。今回も目の当たりに見ているような放映だった。しかし、全体像を伝えることは難しく、放映された現象だけが心に残る。だからこそインパクトの強い映像が選ばれることになる。日本のテレビでは今回のことを喜んでいる人達も放映されていて気分のよくないものだったが、何か危険な思いがした。世の中がパニックになった場合は、これら直接に関与していない人達にも危険が押し寄せるかも知れないからである。

日本のテレビでは事件性だけが大きくクローズアップされているようだが、先の人からの情報では、アパートの近所はいたって通常の生活と変わりないそうである。これも現実の姿で、今夜無事避難できた駐在の方の談話が放映され、このような惨劇の後とは思えないのんびりとした姿が映し出されていたのでほっとしたものである。国民全体がパニックになり、即強硬姿勢を貫いたら、世界中が戦争の真っ只中になってしまう。

事件と直接関与していない第三者からすると、事件性が大きいほど興味を持って観るものだが、現実に直面した人達の冷静な姿を伝えるのもテレビの大切な責任である。憶測でものを言ったり、現実の一端だけを伝えるのは危険である。各自の判断を選択できる情報を伝えて欲しい。今回、テレビ以外でEメールによって現地の生の情報も得られたのはよかった。

まだ20.000人近い人が崩壊したビルの下敷きになっていると言う情報も伝えてくれた。助かった人達は、冷静に身を呈して対処した消防署の人や警察官などに感謝していた。こられの人にも犠牲者が多いのが残念である。

戻る