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 No.58

三輪 薫(みわ かおる)


No.58 『写すこと』/クラシックカメラ 2001/9/21

欲しいカメラに、何れも旧型だがローライフレックスとM型ライカや4×5〜8×10インチ判カメラのジナーがある。AEやAF機構も内蔵されていなく、全てを手作業で行うカメラである。どれも職人芸に近い作りで、一味も二味も今のカメラとは違うタイプだ。カメラを扱う楽しみも大きく、傍において眺めているだけでも心が豊かになってくるから不思議である。このような創りのよい機種が徐々になくなるのは淋しい。

今の小型カメラや中判カメラの大半が、フイルムの巻き上げレバーやクランクやノブがない。ワインダーやモータードライブに替わっている。そんなに急いで巻き上げなければならない撮影ばかりではなく、自分のリズム感で、その時々の心の赴くままに巻き上げたいと思うこともある。作品創りには、この間合いも大事だと思う。僕等の若い頃は、やっとワインダーが手ごろな価格で発売になりつつあった。その時代では、モータードライブなどで巻き上げるカッコ良さは身にしみていたし、憧れでもあった。しかし、これらの撮影は分野に合っていてのこと。また、どう表現しようかと思考を繰り返しながら撮ることもある。このような場合には、自分の意思で巻き上げたいと思うのだ。(アサヒカメラ10月号で、この思いを中判カメラに託して書いている)

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