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 No.61

三輪 薫(みわ かおる)


No.61 『生きること』/尾瀬と上高地 2001/10/22

世界的に見ても素晴らしい世界的遺産の尾瀬は、観光シーズンには観光バスが連なり、一般の観光地並に多くの人が押し寄せ、自然環境バランスが崩れてきて久しい。尾瀬の水芭蕉はお化けのように巨大である。富栄養化も原因だという。多過ぎる山小屋も問題だろう。あるから行き、泊まる。当然、僕もその内の一人である。このままでは尾瀬の自然を守り続けるのは難しい。

上高地などは、自然豊かな国立公園であるのに、尾瀬以上に一大観光地である。都会並の格好で闊歩する人達もいるのは寂しい限りだ。今回乗鞍高原で開催された「大中判カメラ普及協会」の撮影会の後、生徒さん方5人と一緒に久し振りに訪れたが、まるで銀座の日曜遊歩道を歩いているくらい、いやそれ以上の行列に出合った。大正池では岸辺には隙間がないほどにカメラマンに溢れていた。

上高地のホテルは年々高額になり、何故かフランス料理が多いと聴いている。実にナンセンスなことだと思う。何処か、間違っている。素晴らしい自然があるから人が集まる。しかし、自然を破壊する手伝いをしながら、儲けてどうすると言うのだろう。破壊されたら経営も成り立たないだろう。今の利益しか考えないのは、末期的症状と思わずにはいられない。まさに日本的な姿だと思う。あるから行く。なければ行かない人も多いはずで、結果として自然も守られると思っている。

世界のチョモランマ辺りも登山家の残したゴミの山だという。登山家は自然を愛する人だと思っていたのでビックリした。厳しい自然に挑むのは素晴らしいことだが、ゴミを撒き散らしての快挙なら、その名誉は自慢には出来ないし、評価に値しないと思うがどうだろうか。

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