Toppageへ
 No.62

三輪 薫(みわ かおる)


No.62 『生きること』/撮影マナー 2001/10/22

今、カメラマンのマナーが問題となっている。特に、自然の中での撮影態度が横暴なことである。一部の人かもしれないが、自然を犯さないためのマナーを守らない人がいるという。この問題はアマの人だけではないらしい。以前親しい人から聞いた話では、僕のように講師をしているプロが、皆さんの前では「自然を大切にしよう」などと言っていたのに、立ち入り禁止の湿原の中に入って撮影していたのを見た、と言うのだ。目が合って、ばつの悪そうな顔をしていたそうだ。一部のプロでもそうなのだから、アマでは仕方ない、プロもやっているのだから‥‥と思うのは、余りにも淋しい。今回訪れた上高地でも、講師らしい人が規制中の草むらに入り込み指導している姿を見たと出会った知人が言っていた。多くの観光客がいてもである。

僕の写真教室の人や、クラブの方達には、「木の枝を撮影の邪魔だからと言って、折ったりしないように」と伝えている。大したことではないかもしれないが、こんな小さなことにこだわりを持つことで、自覚しないうちにエスカレートしてしまう邪悪な気持ちにブレーキをかけたいと思うからである。自然を撮るときは、その前に自然を愛でる気持ちが大切と思う。

写真は正直である。写し手の気持ちや人間性が画面に現れてくる。心して撮りたいものだ。相手が人であると、多少は気を遣うものである。自然はものを言わないから、何をしてもよいと言うわけではない。自然にも心があるはずで、こちらには直接言葉で返って来ないだけなのだ。

戻る