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 No.102

三輪 薫(みわ かおる)


No.102 『旅』−2/宿 2002/3/11

若い頃「旅」をしていた時の宿はユースホステルか、夜行列車か駅のベンチなどであった。お金が無かったからに過ぎないが、そのような旅でも結構楽しかった。ユースホステルでは「ミーティーング」と称されるものがあり、ペアレントが宿泊者達を集め語り合いの場をつくる。しかし、これは苦手だった。強制的に参加させられることもイヤで、ペアレントの話も何か押しつけられているようで、参加者の変な意見や思想などを無理矢理聞かされることも多かったためである。その点、周遊券を利用した夜行列車は宿賃も必要なく、一眠りすると目的地に着いていた。実に便利で煩わしさも無かった。

煩わしさと言えば、20年ほど前にフリーになり、自然風景の撮影を始めた頃は、季節に関係なく大半車の中やテントなどが宿になっていた。これも実に楽しかった。三度の食事は勿論自炊である。朝日や夕陽を撮りながら珈琲を飲み、星を撮りながら冷えたビールを飲む。1日三度の食事代は1000円にも満たなかったが、精神的には贅沢な生活だった。

しかし、今はこのような旅は体力が許さず、贅沢にもホテル・旅館・ペンション・民宿と様々な所に泊まっている。しかし、旅の楽しさは以前のようには得られない。車中やテントの宿では、早朝撮影も撮影現場にいるので目が覚めたら即可能で、移動時間がない分睡眠も多く取れるのだが。

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