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 No.108

三輪 薫(みわ かおる)


No.108 『生きる』/時代劇・大好き人間 2002/4/6

先日、都内から帰ってから録画しておいた「八丁堀の‥‥」を観て気休め。時代劇が大好きなので、最終回とは残念だった。今回の俳優がよいだけに特に心残りに感じている。次回からの時代劇番組放映も楽しみだが、役者がイマイチである。NHKの大河ドラマも現代調の演出や配役が受けていると言われているようだが、時代劇にふさわしい役者もほしい。同じ役者が現代劇も時代劇でも同様の演じ振りでは興味が半減してしまうし、主役は脇役を支え、脇役は主役を引き立てることが大事だ。写真の世界での主役・脇役との関係と同じことである。

若い人は知らないだろうが、30年数年前頃に放映の、モノクロ版「忍びの者」(主演・品田雄二?)は、とても見応えのある時代劇だった。同じモノクロの「木枯らし門次郎」「三匹の侍」然り。ず〜と後のカラーでは、「雲霧‥‥」「必殺‥‥」「鬼平‥‥」などは創りもよく、映像も魅力的で綺麗だった。もう、こんなドラマはもう創れないのかもと思うと、人生の楽しみを奪われたような気がしてくる。黒澤明監督の映画でも、やはりモノクロが好きである。カラー作品も数々見たが、モノクロのような感銘は少なかった。「まあだだよ」くらいだろうか。あの映画はモノクロでは重くなりすぎただろうから、カラーで正解だと思っている。

子供の頃は、映画館に入り浸っていた。尤も、小遣いがとても少なかったので、友人の親戚が経営の関ヶ原唯一の映画館に「裏口入館」が多かった。ここは東映映画がメイン。「鞍馬天狗」「怪傑・黒頭巾」「宮本武蔵」などは見逃さず、自分自身を主演俳優と重ね、感情移入が楽しみだった。これも、今は懐かしい思い出となっている。

現代劇で見た東京の街並みなどは、田舎人間からするとまるで外国だった。この頃は、まさか自分が生きる場所になるとは、思っても見なかった。だから、人生は面白い。海外旅行など、「夢のまた夢」だった。良き時代になったと心底思っている。しかし、失われたものも多い気がする。体験や知識を多く積むほうが、失うことが多くなることに繋がることもあると思う。

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