三輪 薫(みわ かおる)
No.109 『写す』/作品を見せる、観るこだわり 2002/4/18
先月に巡回展も終わった個展「風色」の銀座展での会場に、同業のプロ達が結構来てくれた。何故か共通した言葉があった。「三輪さん。額が良いねぇー」。この不景気なのに随分張り込んだ写真展を開催するなあ、と言うことだったような気がする。手作りの櫻材の額だった。僕もだが、同業者の写真展には余程仲良くない限りは、内容にまで深く突っ込んだ話はしないことが多い気がする。しかし、黙って観ているわけには行かず、思わず額の話に振ってきたのだろうか。
個展などで作品の見せ方にはこだわり、多少費用が掛かってもその作品展に沿った最高の見せ方をすべきだと考えている。額も含め作品表現と考えて選んでいる。だから、見積や請求書を見るたびに毎回悩むことばかりが続いている。それでも妥協はしたくない。だから、とことん拘る。撮影に、見せ方にこだわり、個展開催を重ねるごとに益々そのこだわりも大きく膨らんでくるのが常である。
生徒さん方は普段僕が言い続けている「空気感と臨場感を写さなければ、僕の自然風景作品は成り立たない」と言う言葉を素直に受け取り、作品の中から何かを掴み取ろうと、しっかり眺め続けていたように思う。僕も自分の作品から、今まで気付かなかった点を発見しようと毎日眺め続けていた。自分のための個展開催だから、今回に限らず期間中は連日会場に詰めることにしている。巡回展では会場の壁面構成が変わるため、作品のレイアウトも変えている。これもこだわりの一つで、結果を確かめ、新たな発見を見い出すために各会場へ行くのも大切なことだと思っている。