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 No.110

三輪 薫(みわ かおる)


No.110 『写す』/作品の見せ方や発表の仕方 2002/4/22

作家としての生き方や作品創りの方向性や、見せ方や発表の仕方には様々なものがある。僕が写真学生だった頃はフォトジャーナリズム全盛で、個展は別として印刷媒体での発表が全てのように言われ、思われていたような気がする。しかし、僕は将来は画家や版画家のようにオリジナルプリントの作品を創り、それを写真展で発表し、版画家と同様に販売しようと考えていた。しかし、写真界の先輩達にはそのような生き方に賛同してくれる人は少なかったように記憶している。『写真とはそのようなものではない』と。当時は、グラフジャーナリズムこそ写真の本命と考えられていたような気がする。そのように僕に話していた人達も、今は自分の作品を販売しているから面白い。

写真展の見せ方にも色々あり、僕はその作品の作画と表現に沿った選択をしている。額装やパネルの他には、ピンナップしたりプロジェクターで投影したり、テレビを置いて放映する方法などもある。額装の場合には、作品内容と会場に合った額の選び方、マット加工でのプリントの貼り付け方、余白寸法、マットの色あいなどの決め方などにより、受ける印象は大きく違ってくる。だから加工業者にもこだわりを持っている。額装も含めて作品と考えているからだ。銀座ニコンサロンでのデビュー展ではオリジナルの額装で、マットも黒の薄手を型抜きした。その後開催した東北の村のルポではパネル貼りにし、東京を撮り続けた作品展ではピンナップを選んだ。共にモノクロの写真だった。ピンナップでは、印画紙がへなへなと曲がるのを防ぐために薄いボードにドライマウントして展示し、壁に止めるピンにもこだわって随分捜した。この時は業者に依頼しないでドライマウントプレス機を購入し、自分で加工した。結果的にはプレス機の購入価格のほうが高くついたが、現在ファインプリントをする時のフラットニングには欠かせない機材となっている。

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