Toppageへ
 No.111

三輪 薫(みわ かおる)


No.111 『写す』/拡大して見せる表現 2002/4/29

絵画や彫刻などは創作目的によって号数やサイズを決定している。それらの作品は本などに掲載されると縮小されてしまうことが大半である。写真は逆で、拡大して表現する分野であり、作品によって理想的なサイズがあると思っている。それを遺憾なく出せるのが、オリジナルプリントを展示する写真展だ。また、写真は他の分野よりも豊かな階調再現が特徴で、その再現性と理想的なサイズに拡大することによって写真独自の表現性が成り立つと考えている。

だからこそ、プリントの仕方や、額装などの見せ方や展示レイアウトなどに、自分でも呆れるほどにこだわってしまう。僕の作品は、個展などで生のプリントを見ていただくのが一番とも思っている。表現目的にもよるがほぼ理想的なプリントサイズにしているからだ。また、写真展では会場の雰囲気、壁面レイアウトや長さ、照明なども考えて作品セレクト・展示構成することも大切と思っている。だから、巡回展では会場の壁面構成などが違うため、作品の展示順序を各会場ごとに変えることも多い。受ける印象が多少変わってくるのは、写真の個展では作品を1点1点独立して見せるよりも展示作品全体で表現し、流れも読み取りながら眺めるためだろう。

今回の巡回展の開催には、行く費用を考えるとためらいがあったのは事実だ。しかし、開催する以上作者として一度は会場に足を運ばなければというこだわりもあった。結果的には4回の写真展を開催したとは言えないまでも、各会場で東京展とは違った収穫があったように思う。チャンスがあれば、東京展とは違う見せ方をした巡回展も行い、行って自分の作品を眺めることをお勧めしたい。

戻る