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 No.112

三輪 薫(みわ かおる)


No.112 『写す』/定期的な個展 2002/5/3

先のカメラ誌の人曰く、「今の時代、三輪さんのように自らの企画で頻繁に個展を開催している写真家は少ない」。また、「今の多くの写真展は、見せ方にも作者としてのこだわりが少ないように思う」と。個展を開催することが全てではないが、僕はフォトジャーナリズムの分野の写真は別として、写真を作品として表現するにはオリジナルプリントでないと、撮影時の感動や写真独自のトーン再現などは伝えにくいし、見る側もはっきりと受け止められないのではと考えている。だからプリントに、見せ方などには自分でも呆れるほどのこだわりを持っている。

以前あるラボで、「我が社のラボで三輪さんはプリントにうるさい筆頭ではないが、上から数えて何番目かな?」などと言われたことがある。プリンターにとっては決して嬉しい客ではないだろう。しかし、共に妥協しない姿勢も大切と思っている。僕の個展で長年お世話になっているプリンター、インターネガ制作者、レタッチマンの方は、共同制作者と考えている。これらの人がいなければ、僕の個展は成り立たないからである。額装の方にも同様の気持ちで臨んでいる。作品創りにうるさいくらいのこだわりを持つ僕を支えてくれるこれらの方々には、感謝、感謝の気持ちで一杯である。

僕の個展は自分自身を確かめたいと思って開催している。公の場で自分の撮った作品を見ると、自分自身が見えてくるような気がする。作品を撮ったり、生きている証を見詰めるには、一人で自問自答することも良いが、大衆の面前に自分の全てをさらけ出して見詰め直すほうが解決が早い気がする。「逃げ」がないからで、さらけ出せば隠れてごまかすことも出来ない。自分をより厳しい状態に追いやるのも向上を目指すには必要なことでもあると思っている。だからこそ、自分が見たい、確かめたいと思う内容で、自らの企画によって頻繁に個展を開催することになる。

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