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 No.125

三輪 薫(みわ かおる)


No.125 『自然』/雨の屋久島と人の出会い 2002/7/16

屋久島は一年で400日雨が降ると言われる所である。毎日何処かで雨が降っているのだろうか。だからこそ巨大な屋久杉が育ち何千年と生き続けることが出来るのだろう。先日のフォトワークショップ「風」のツアーでは、初日と二日目は豪雨だった。最終日には晴れた。しかし、晴れてしまうと雨の中で見ていた屋久島の自然の姿とはまるで違い、なんだか魅力に欠けるような思いがしたから不思議だ。屋久島は雨がよく似合う。決して大きな島とは言えないながらも自然が豊かで、渓流や滝も多い。飛行機の窓から見下ろすとまるで円錐形のような形をした島で、隣の平坦な種子島とは対照的である。

僕が初めて訪れたのは20数年前で、当時も一旦雨が降ると豪雨そのものだった。何度か縄文杉の撮影に挑戦したのだが、その度に豪雨となり、断念した。残念ながらいまだに見たことはない。当時は山間の町で育った僕が興味をそそられたのは、山の杉などの樹木よりも海だった。滝や杉よりも海辺で撮影することが多かった気がする。何回島の周辺を走ったことだろうか。今は樹木が好きで、機会があれば縄文杉などにも会いたいと思っている。

当時は宿も少なく、レンタカーもなかった。友人の紹介で尋ねた方の家に泊めていただき、随分お世話になった。しかし、紹介されるにはほど遠い方で、まるで知らないも同然の方だった。毎夜宴会となり、話の弾みでそのことが分かったのだが、冷や汗ものだった。しかし、うち解けてみると僕を自分の子供のように可愛がってくれ、取材用の車も知り合いの修理工場に頼んでくれた。何度も行ったが、その都度、宿となり宴会が続いた。その方は、今の僕より若くして突然亡くなった。先日やっと仏前にお礼を言うことが出来、今回のツアーも僕にとっては思い出深いものになった。

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