三輪 薫(みわ かおる)
No.148 『写す』/自分流の作品 2002/11/4
僕の作風は地味である。愛用のフイルムは多銘柄に渡るが、晴れた日の逆光で鮮やかタイプのフイルムでPLフィルターを掛けて撮ることは少ない。どちらかと言えば晴れた日には気がつくと日陰で撮っている。紅葉時期には否応にも被写体は鮮やかで、逆光で見ると実際の被写体以上に色が増して見える。このように見える被写体を、より鮮やかな発色が特徴のフイルムを使い、PLフィルターを常用することは僕の表現世界ではフィット感が持てない。しかし、自然写真を撮っている者には、僕のような考え方、思い、作品創りへの姿勢を持つ人は少数派であると感じている。
作品の売り込みを委託している会社の方にもっと派手な色を出して欲しいと言われることが多い。プレゼンなどでは結構最後に近く残っても、結局おとなしすぎて通らないことが大半であると言うのだ。しかし、以前指名されて創られた京セラのカレンダーでは、デザイナーが見事に僕の世界で構成してくれ、結果として最高の評価を受けた。今、このカレンダーはプレミアが付いていると聞く。嬉しいことである。ある部分、オリジナルのプリントを越えた表現になっていると思うので、当然のことかも知れない。
僕は一貫として時代に合わせた撮り方や、売れ、支持されるからと言う理由では作品創りをしてこなかった。あくまで自分自身の生き様を貫いてきただけである。