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 No.149

三輪 薫(みわ かおる)


No.149 『写す』/写真上達の早道 2002/11/14

今年度は、銀座で生徒さん4人の個展を開催することになり、二人が終わった。これらの人達は、僕が担当する写真教室やクラブ、主宰するワークショップなど、いくつも参加している方々が多い。それぞれ違う指導者のクラブや写真教室を渡り歩いている人ではない。別に僕と付き合うのがよいと言っているのではなく、指導を受けるなら、自分の生き方、求める作品の方向性に合った講師を早く見極めるほうがよいということなのだ。同じようなことでも、言い回しなどは微妙に違い、多くのプロの指導を受けていると、同じ作品に対しての評価やアドバイスも違って聞こえてきて、判断に迷うこともあるだろう。

フォトコンテストなどは、評価する基準はあくまで審査員の考え方や思いであって、世界標準の数学的な基準などはない。あくまで、審査員の心を如何に動かすかに掛かっているからである。だから、同じような評価を受けることもあれば、全く無視されたと思うほどの評価もある。それ程曖昧な世界である事を知って欲しい。表現する世界には、絶対はない。もしあれば、後世で評価されるようなことは皆無である。しかし、ゴッホやゴーギャンしかり、生きている頃には今ほどの評価がされてはいない。だからこそ、今、自分自身で自分の世界を追い求め、判断することに自信がないという人は、誰かのアドバイスも役に立ち、近道が出来ると思っている。

そのためには、前述のように自分の方向性に合ったアドバイザーを見つけることもよいかもしれないし、合っていない人にいくら長く付き合っていても、自分にとって役に立つかどうかは疑問だと思う。だから、僕の教室などに通っている方にも、僕の方針や生き方に合わないと判断した時には、遠慮なく他を探すことも賢明なことだと伝えている。しかし、僕の作風が好きで食らいついてくる人には、素敵な世界での個展開催や写真集が現実のものとなると信じている。プロの講師としても、それだけの自信を持って皆さんとお付き合いしているし、長年のお付き合いをしていると心も通い、自分のことのように感じてくるから不思議なものだ。生徒としては、講師の心をのせて仕舞う術も時として必要かも知れない。一番良いのは、難しく大変なことだが、人を頼らず、自分で自分の方向性や作画などを研鑽することであるのは、言うまでもない。

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