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 No.153

三輪 薫(みわ かおる)


No.153 『車』/排ガス 2002/12/19

自然を撮るのはいいのだが、車で排ガスをまき散らしながらでは、自然破壊に手を貸していることにもなる。写真家によっては、数年で10万キロも走ると豪語し、自慢げに言う人もいる。多くがディーゼルエンジンの車である。では、ガソリン車ならいいかと言えば、違うと思う。ガソリン車でも前述のよう多く走れば、走行距離の少ないディーゼル車の人よりも多くの排ガスをまき散らすことになるからだ。

今流行の4WD車の多くがディーゼルエンジンである。このタイプの車が多種用意され、燃料費が安いからと言う理由も手伝って多くの人が買う。一般大衆が買うディーゼルエンジンタイプを全て省エネの環境に優しいガソリンエンジンの車にし、環境に優しいディーゼルエンジンが開発されるまで発売を止めさせる政策も必要で、その開発には政府の援助も重要だろう。ディーゼルエンジンは故障も少なく燃費もよい。黒煙さえ吐かなければガソリンエンジンより人の健康には優しいと言うデータもあると聞く。もっと省エネで排ガスがガソリンエンジン並みに少ないディーゼルエンジンの開発を期待したい。

かく言う、僕の取材用の車もディーゼルエンジン。度々ディーラーに預け、調整は怠らないが、遠くの地域での撮影には飛行機や新幹線などを利用して行き、ガソリンタイプのレンタカーを多用し、可能な限り自分の車を使用しないようにしている。公共バスなどでは「アイドリングストップ」のキャンペーンをしているようだが、観光バスは季節や場所に関わらず長時間の停車でもエンジンをかけ続けている姿に出会うことが多い。全国の観光バスの台数を考えると、排ガスは膨大なものになるだろう。不景気の今、乗り手が少なくなったタクシー乗り場で長時間停車中のタクシーなども同様である。

撮影会やツアーなどでバスを利用する時には、長時間の駐車にはエンジンを切ってくれるよう頼んでいる。以前、冬の早朝に撮影している人の誰も乗っていない自家用車が数時間もエンジンを掛けっぱなしで、注意したら睨まれたことがある。人が乗っていないのに、どうしてエンジンを切れないのか不思議なことだ。暖かくなった車に冷えた機材を持ち込むと結露も生む。確かに車に乗った時には暖かいだろうが、「しまった」と思うこともあるだろう。

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