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 No.156

三輪 薫(みわ かおる)


No.156 『創る』/アナログとデジタルの創造力 2002/12/31

カラー全盛の世の中であるが、モノクロ写真への関わりを捨ててはいないし、これからもずっと撮り、作品を創り続けて行くつもりである。また、カラーでは設備投資と設置場所の問題と時間がなくて自家処理は出来ないが、モノクロに関しては自分で行わないと気が済まない。

4年ごとに開催している「ファインプリント展」も、3回目を9月に開催した。モノクロでの個展は結構多く開催してきたが、ファインプリントとしては取り組み方が違ってくる。作品表現や内容もさることながら、モノクロバライタ印画紙のグラデーション、トーン、マチエールなど、生の印画紙から受ける印象や、選択した撮影フイルムと印画紙の銘柄などや処理方法によっても作画が変わってくるのが、ファインプリントである。つまり、仕上がった印画紙の姿を想像して撮る。結果を想像し、逆算して撮影し、処理しなければ、よい結果は生まないと信じている。

初めてファインプリント展を開催した1994年には、少々のめり込み過ぎ、暗室に延べ40日ほど連日引きこもっていたが、薬品に犯されてしまった。一旦体内に入ってしまった薬品が残留し、体外には排出されなくなり、再び暗室作業をすると再発してしまう身体になってしまった。体中発疹が出来、最初は見るも無惨なくらいボロボロになってしまった。また、アフロヘアー並みだった頭髪も、あれよあれよと言う間に、ごっそりと抜け落ちた。2回目の時も同様で、再発が一段と早く来た。作業途中で何度も病院へ走り、今回の3回目は、予防のため作業の始まる前に病院へ行って対処したのだが、やはり、再発は免れなかった。しかし、幸運としか言いようがないだろうが、まだ頭髪は残っている。次回の4回目が終わった時には、もうなくなっているかも知れない。医者の勧めに従って健康な体を維持し、頭髪を大事にするためにも自家処理を止めるか、それでもモノクロ写真を続けることを選択するかを、いよいよ迫られるだろうと覚悟している。

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