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 No.81

三輪 薫(みわ かおる)


No.81 『生きること』/世の中に役に立つこと 2002/1/1

昨年8月15日深夜に、TBSの筑紫さんの番組でアンケートを行っていた。「あなたは、世の中に役立っていると思うか」と言う質問に対し、6割以上の人が「役立っていると思う」と答えていて、ほっとしたものだ。考え方はいろいろあるだろうが、国や世の中と言うほど大きなことにではなく、家族に対して「自分は役立っている」と判断した人も多いのではないかと考えたからである。個人が、家族が集まって社会をつくり、国が成り立っている。国があって人があるのではないと思うし、世界に視野を広げても同じことが言えると思う。

以前、ある人に「三輪君、講師など止めたら」と言われたことがある。講師をしている暇があったら自分の作品を創ったら、と言うのが本音だと理解して耳を傾けていた。しかし、今の僕は講師業が好きだし、講師の僕を慕ってくれ、僕を必要と求めてくれる人もいると思っている。人生の楽しみとして趣味の写真と関わり、もっと写真を楽しみたい、もっと上達したいと、僕が担当の写真教室やクラブに通っている人もいる。「わの会」に入会されている方々も同様の気持ちと思う。慕われ感謝されることは無上の喜びである。少なくとも、家庭以外でもお役に立てている訳で、嬉しいことだ。勿論、写真家としては先の方の言っていることも、間違ってはいない。

今年に入ってすぐに12月に開催の個展「風色」の巡回展が7日から名古屋でスタートし、福岡、大阪でも開催する。僕の作品は、なるべくオリジナルのプリントを見てほしい。写真の世界は、印刷やこのようなホームページでも見ることが出来るようになり、出掛けることができない多くの人にも見ていただけるのは嬉しい。しかし、僕が拘るトーン再現によってかもし出される「空気感や臨場感」は、やはりオリジナルの大きなプリントを前にしたほうが身体一杯で受け止めることができるだろう。写真の魅力のひとつである美しい色調などを、ダイレクトに見て感じていただくと、特に写真愛好家の方々にはお役に立てそうな気がする。また、ふらりと会場に来た人達には、日本の「侘び寂」風景の趣を改めて見直していただけるのでは。今年も、心が癒される作品創りをしてゆこうと思っている。

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