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 No.83

三輪 薫(みわ かおる)


No.83 「写すこと」/有りのままに撮る 2002/1/3

自然を前にして撮影していると、人間が、自分が小さく感じることが多い。期待感や思いなども写し込みたいと願うのであるが、なかなかそうはゆかない。先日亡くなった指揮者の朝比奈さんの指揮哲学には共感を覚える。同様に「有りのままに撮りたい」と思いながら長年撮り続けているが、意外と難しい。誇張した描写や表現をするのは好きではなく、自然に向かって淡々と撮り、「自然が語り、見せてくれる有りのままに写し取る」と言う姿勢で向いたぃと思う。

先月開催の個展「風色」でも、作品は「自然に語らせれば十分」と思いながら撮ったものを展示した。しかし、写真は誇張されてしまうことが多くあり、だからこそ隠れたテクニックも必要になる。あらゆる条件の撮影でも全てが自然そのものに見え、自然に感じるためのテクニックなのだ。フイルムの選択は、そのためにも重要な要素で、目の当たりに見た姿を、いかに自然に見せるかを長年研究し続けているが、とても難しい。

音楽も写真も同じで、最後はやはり生き様なのだろうか。自分に嘘をつかない正直な人生を送り、素直に自分を映し込んだ作品を創りたいと思っている。

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