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 No.165

三輪 薫(みわ かおる)


No.165 『写す』/写真愛好家の生き方 2003/2/1

数年前、10年担当していたクラブの講師を辞める時、一緒に退会した人達が何人かいた。僕にとっては嬉しいような、それでいて悲しいような複雑な思いだった。何故かと言えば、僕を本当に慕ってくれていた人がはっきりと分かったことであり、僕と一緒に退会すれば会に波風が立つのは当然だからである。しかし、講師としての僕は、あくまで頼まれての仕事であり、そのクラブの会員は自分の意志で加入している。それらの方々の内、僕が講師を辞めるから、もうそのクラブには魅力がないと判断したならば、写真を楽しむと言いながらも、僕の生き様に惹かれ、僕の写真への取り組み方を理解し、共感してくれていた人達と判断できる。その点を考えると嬉しいことだった。

退会した人達は個展開催や写真集の刊行を目指すために発足した二つのフォトワークショップ「風」と「昴」に所属している。メンバーの中には僕の期待以上に早く個展開催に漕ぎ着けた人が今年度には2人いて、3月にもう1人が開催し、1人が写真集を刊行した。先月には「昴」展をコダックフォトサロンで、個展をキヤノンサロンで、「風」展を京セラ・コンタックスサロンで連続で開催し、現在「風」展の会期中でもある。7月にはご夫婦の方が二人展を開催する。メンバーの意欲的な取り組みは嬉しい。写真愛好家の全てではないが、言葉には出さないまでも、多くの方が個展開催や写真集の刊行などを願っているのは事実であるからだ。

一緒に退会した人達は、数年先、もっと先に自らの意志や努力で得られる幸せや満足感を期待したからだと理解している。行動を共にした人達にとっては、結果としてある意味正解だったと思う。残った人と同じギャラリーで、1枚ではなく、数点も展示できる写真展を実現し、仲間も次々と個展開催や写真集の刊行など、意欲的な活動をしているからである。その結果、自分も同じように出来るのではないかと言う現実の「夢」と「希望」や「刺激」も得られたのだから。

しかし、今回のそれぞれの写真展には、ワークショップのメンバーが以前所属していたクラブの人たちも結構来てくれたようで、これも写真仲間として嬉しいことである。

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