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 No.166

三輪 薫(みわ かおる)


No.166 『車』/ディーゼルエンジンは本当に悪いのか 2003/2/4

現在、排出ガスが生活環境や人体へ悪影響を与えると言う理由で、ディーゼルエンジンが大きな社会問題となっている。では、ガソリンエンジンなら問題はないのだろうか。東京都は“NOディーゼル運動”を進めているが、公共の車である都バスや清掃車や消防車などの大型車の全てを早くガソリン車へ転換し、公用車の全てをハイブリッド車や電池自動車に換えないと、言っていることとやっていることの矛盾が起きてしまう。

しかし、以前ドイツに取材で何度か訪れた折り、ドイツ国民が信頼感を高く抱いているディーゼルエンジンの車がかなり多く、軽油とガソリンとの価格差も余りないと聞いた。他の国でも同様のようで、環境維持にはかなり厳しく臨んでいるユーロで、なぜ、そのようにディーゼル車が多いのだろうか。問題にされている黒煙の原因は、軽油の硫黄成分が多いせいである。だったら、低くすればよい。簡単なことである。しかし、日本で販売されている軽油の硫黄成分はユーロと比べてかなり高く、ユーロでは軽油中の硫黄分を2005年から50ppm以下に引き下げることになっているそうだ。しかし、現在の日本で販売されている軽油中の硫黄分は、その10倍の500ppmまで認めているらしい。何故なのだろうか。どうしてユーロ並の硫黄成分の軽油にして販売出来ない、しないのだろうか。

僕の知人も乗っている最近のディーゼルエンジン車は、ガソリン車と勘違いするほど静かで、黒鉛も見られない。そのような新しいタイプが増えているように思う。ベンツが開発したディーゼルエンジンはもっと凄く、素晴らしいものらしい。だったら、地球温暖化に優しいディーゼルエンジンのほうが良いエンジンであるという見解も成り立つはずだ。まず、黒煙を吐いて走る整備不良の車を排除する方が先であると思う。自家用車規制をしている上高地でさえ、黒鉛をモクモクと吐いて走る一部のバスも見かけることもある。何のための規制なのかと疑ってしまうのは僕だけではないだろう。

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