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 No.170

三輪 薫(みわ かおる)


No.170 『写す』/新コダックフイルム 2003/3/2

コダックから新タイプのリバーサルフイルムE100GEと100GX等が発売された。今後はデジタル写真が全盛になるかも知れないと言うのに、アナログのフイルムにも拘って発売する企業姿勢に敬意を表したい。アナログのモノクロ関係の感剤に引き続き、カラーフィルムも少なくなる心配があるが、このような時に新タイプが出るのは嬉しく心強い。今回のフイルムは、エクタクロームE100SとE100SWの特徴を引き継ぐもので、昨年秋から試写を重ねてきた。粒状性による滑らかなトーン再現と抜けのよさとシャープネスの向上が見られ、完成度が高い仕上がりになっていると思う。カラフルな紅葉から現在の雪景色まで実にニュートラルな発色だった。見た目の自然さを引き出すことはフィルムにとって大切な要素であり、メインフィルムとして常用できる。鮮やかタイプのフィルムと比べると少しおとなしい発色だが、僕はこのような描写に惹かれる。質感再現もよく、どのような被写体や撮影にも違和感のない仕上がりが期待できそうだ。

写真を撮る者にとって、自分の色を持つことは画家がその人独自の色を持つのと同じで、フィルム研究は怠れない。だからこそ、新しいフィルムが発売になると真っ先に試写を重ねることになる。今まで見つけられなかった色に出会えるかも知れないからだ。

今月末に銀座のコダックフォトサロンで開催の企画展(3人展)に、新発売フィルムで木々と海を撮った作品をメインに10数点展示する予定で、現在プリント中である。

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