Toppageへ
 No.175

三輪 薫(みわ かおる)


No.175 『写す』/競作 2003/3/27

現在、銀座のコダックフォトサロンで「プロの競演 新エクタクロームの魅力」と題した写真展を4月1日(火)まで開催中である。日曜も開館し、最終日は午後3時に閉館する。川口邦雄さん、サンダー平山君と僕の3人が出品し、それぞれ山岳・女の子・自然風景を全紙から全四倍で展示している。フィルム特性の生かし方や作品内容など三者三様で、面白い企画展になっていると思う。

今回のプリントのラボはコダックの指定で、ここ数年写真展を手掛けることが多くなっている堀内カラーで行った。しかし、僕の作品プリントをお願いしたことや、事前にプリンターとのコミュニケーションをはかる時間もなく、テストプリントに指示し、本番プリントのチェックを迎えた。全紙はアナログのダイレクトプリント、全倍以上は銀塩ペーパーを使うデジタルプリントのラムダによる出力である。僕が求めるソフトながらも抜けのよいトーン再現は、川口邦男さんのハイコントラストな山岳写真とは正反対のもので、一見楽にプリント出来そうだが、実はラボマン泣かせの作品だったかも知れない。やはり作者の意向・作風などを理解してもらうには、長いお付き合いの年月と、依頼回数の多さが必要だろう。作者とプリンターとの作品に対する解釈が違うこともあるからである。しかし、マット加工されて展示した作品にライティングを加えると、見栄えのよいものになった。主催者側のコダックにとっては、写真展として満足できる仕上がりになったと思っている。搬入には他の方が来なく、作品の展示方法やライティングなども僕の見解で行うことになってしまった。

今回の作品評価を真っ先に聞きたかったのが、先月新館長と交代した今月末に退職する元館長の感想だった。誰の作品にも厳しくズバリもの言う元館長さんの評価は、大半当たっていると信じているからである。取り敢えずは合格点を頂き、ほっとした。

今回の写真展はコダックの企画で、仕事での撮影だった。新製品フィルムの試写は昨年の10月下旬から行っていたが、写真展への出品依頼は昨年の暮れだった。会期を考えると僕が担当する自然風景では季節柄色も少なくなる。企画には合わず、色を求めて八丈島や沖縄へも出掛けた。このような作品展では、ギャラの範囲で撮影出来る場合や被写体もあるが、今回は取材費だけでも遙かにオーバーしてしまった。僕が度外視して取り組むことを考慮して、指名されたのかも知れないと思っている。

しかし、結果として作品が悪ければ、企画側のコダックではなく、出品者の当人達が評価を落としてしまう。競作展はカメラ誌での競作と同様、難しいし、怖い。だから、撮り下ろしでは予算や時間も無視して取り組むことになる。本音では「競作は、関わりたくない企画」であるが、何故か昨年からこの様な企画を依頼されることが増えている。しかし、何事も挑戦と考え、評価が悪ければ、自分の責任と思うことにしている。

戻る