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 No.181

三輪 薫(みわ かおる)


No.181 『写す』/ネガプリントの可能性 2003/5/11

現在は写真愛好家の人達もリバーサルフィルムの愛用が飛躍的に増えている。撮影のシビアさも要求されるが、リバーサルフィルムは色調再現がフィルムの銘柄で決定されて自分好みの色を求めやすい。しかし、グラデーションの豊かさはネガフィルムのほうが高く、再現性も豊かである。しかし、プリントの度に違った色調になることも多く、ある意味不安定な部分もネガフィルムにはある。

現在は写真の世界もデジタル化が進み、「銀塩よ、さようなら」とは言わないまでも、世の中デジタル、デジタルと騒ぎ立てているような気がしている。かく言う僕も同様で、銀塩のアナログ世界の権化と自負しているが、デジタル世界の表現にも魅力を感じている。しかし、このデジタル世界への可能性には、銀塩世界とは同じものを求めているのではない。デジタルならではの表現、創作への可能性を模索している。

前回のカラーによる個展時に、プロラボの方から「これからは、同じ銀塩で撮るならポジよりもネガフィルムの方がいいですよ」と言われた。銀塩のペーパーを使うデジタルプリントが出来るイタリア・ダースト社のラムダを使ってプリントすると、一般的なデジタルプリントと同様パソコンでトーンやコントラストなどの調整が出来るため、かなりレベルの高いプリンターの方による手焼きプリントよりもきめ細い調整ができるからだろう。グラデーション再現は、ネガフィルム・デジタル・ポジフィルムの順で劣ってくると言われている。最も豊かな再現をしてくれるネガフィルムで撮って、デジタルプリントするのが得策なのは一目瞭然である。銀塩に拘りながら、デジタルを利用してより向上を目指すのも一つの選択かも知れない。

僕はモノクロのファインプリントにも拘りを持って制作しているが、最高と思われる同じプリントを数多く創るのは大変難しい。良しとするプリントでも、比べてみると全てが同じというわけには行かなく、微妙に再現が違ってくるものだ。しかし、デジタルでは、常に一定の仕上がりが期待できる。耐久性を増したデジタルプリントも、仕上がりさえよければ、銀塩世界のファインプリントよりもクオリティーの高い作品を供給できると言ってもよいだろう。

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