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 No.190

三輪 薫(みわ かおる)


No.190 『写す』/個展「風香」 2003/8/3

今回の個展「風香」は京都展のみ開催が決まっていて、そのことを皆さんに伝えたことで、それではと東京、山形、水戸、静岡、名古屋、石川、福岡、佐賀など、遠方から多数の生徒さんや知人が来てくれた。やはり、新しい表現をした生の作品を是非この目で見てみたいという思いが強かったからだと思っている。嬉しかった。「来て下さい」と言うのは簡単だが、いざ京都まで行くのは大変なことだ。それでもこれだけ多くの方が来てくれ、それぞれにお礼を言われてしまった。逆である。しかも、それらの人から、是非東京や全国での開催をと望む声が上がっている。今回京都まで行くことが出来なかった多くの人達に是非観せて欲しい、自分ももう一度観たいからと言われている。決して安くないお金を使って来てくれた人からの、何より嬉しい言葉だった。

現在、デジタル時代になってきたとは言え、作品創りにデジタルを活用している人はまだ少数派である。今回の作品はフィルムを凄い威力のドラムスキャンして、エプソンピエゾグラフで和紙に引き出したデジタルプリントである。このプリントからは、銀塩プリントとは一味違うデジタルプリントの素晴らしさ、クォリティー、作品表現の可能性などを、より身近なものとして感じていただけたと思う。

今回残念だったのは来場者数である。東京で開催の個展のように、多くの方に観ていただくことが出来なかった。仕方がないとは言え、東京の業界の方で来てくれたのはオリオンプレスの社長とフリーのライターの二名だけだった。納得のゆくプリントに仕上げたデジタルプリント展は想像を絶する経費が掛かり、今までにない多大な協賛を受けることが出来てやっと実現した個展である。協賛会社の方による、今回の個展開催の主催者である実行委員会の方々の準備など、大変な作業の積み重ねの上で開催できたので、残念でならない。だからこそ、これから益々発展するデジタル世界だからこそ、今回の「風香」展のエプソンピエゾグラフによるクォリティーの高いプリントを、より多くの方々に直に観ていただきたいと思うのだ。

プリントにはうるさいほど注文を付けるのが僕のポリシーである。出力を担当してくれた日本を代表する方にも、今までの集大成としての出来映えだった、今回の個展は自分にとっての個展でもあると言わしめたプリントであり、個展だった。また、今回は初めて会期中の全てを会場に詰めることが出来なかった。だから僕自身も、もう一度自分の作品とゆっくり対面したいと願っている。

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