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 No.194

三輪 薫(みわ かおる)


No.194 『写す』/益々厳しいプロラボ 2003/8/29

昨日、(株)ドイからの連絡で、「民事再生手続き開始」に入ったことを知った。昨夜のTVのニュースでも取り上げ、今日の朝刊にも掲載されていた。しかし、プロラボのドイテクニカルフォトは、これからも今までどおりの業務を継続するとのことで、まずは一安心している。僕のカラー作品のプリントの全てをここにお願いしていて、ドイが潰れてしまったら、僕の作品創りも路頭に迷い込んでしまうからでもある。

また、期せずして、現在プリントを進めているクラブ展のデジタルに詳しい担当の方から、あるプロラボの現状について次のようなお知らせを頂いた。
「デジタルカメラからのプリント依頼に手数が掛かるのは、ラボの経験が少ないからで、顧客対応の手続きがまだ何もなく、デジタルの価格表もないのです。ラムダを入れて1年弱のようだし、デジカメ画像で全紙にするのは初めてだと思います。フィルムやマック環境でしか受け付けないのはおかしい訳で、デジタルカメラで撮影している一般の人を相手にする環境になっていません。受付担当者と色々話し、プロラボもこのままでは大変な事になりますよ。とハッパを掛けてきました。」

デジタル一眼レフカメラで最も多く売れているキヤノンが、遂にEOS kiss Digitalを発売する。しかも、スペックが10Dに近く、標準ズームレンズ付きで15万円を割った価格で、月産7万台だそうだ。ニコン、オリンパス、ペンタックスと、一眼レフもデジカメに主流を置き始め、急激にデジタル化が進んできた。一眼レフカメラでも、銀塩フィルム用よりもデジタル用の方が多く生産されることになるだろう。EOS -D30が発売になって数年で、もうここまで来てしまった。銀塩カメラもいよいよ終焉に近づき始めたのではないかとの危惧を感じている。

プロラボ業界もここにきて、いよいよ銀塩世界だけではなく、デジタルのデータ持ち込みへの対応を着々と進めないと、生き残ることすら難しい時代に突入しているのかも知れない。大量にフィルムを消費していた雑誌やコマーシャル分野でもデジタル化が進んでいる今、フィルムの販売や現像などでの売り上げはずいぶん少なくなっているはずだからである。巷のDPE店も大変なようだ。しかし、銀塩はなくなるとは思わない。必ず何処かで残るだろうが、製造メーカーやラボも企業として成り立つだけの需要があるかどうかが問題である。インクジェットプリンタでフォト紙に出したプリントと比べ、同じデジタルとは言え、銀塩ペーパーを使うラムダでのプリントの仕上がりは素晴らしい。しかし、東京のプロラボですら上記のような有様なのだから、利用者は少ないのだろう。

3年前にコンタックスサロンで開催の「風光-IV」では、丁度ドイテクニカルフォトがラムダを導入した頃だった。この時はフィルムをスキャンしての全四倍プリントで、僕の要望が高かったことと、まだラムダに慣れていなかったことが原因と思うが、数日毎に現場に通い、2点仕上げるのに二人係で足掛け10日くらい掛かった。しかし、出来上がりは満足感の高いものだった。慣れてくれば、もっと早く、安価にできると思う。昨年暮れにドイフォトギャラリーで開催の、第2回「わの会」写真展にもデジタルカメラで撮影の作品もあったが、さすが綺麗な仕上がりで、料金も銀塩ペーパーのものと余り変わりはなかったようだ。

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