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 No.195

三輪 薫(みわ かおる)


No.195 『写す』/デジタルプリント 2003/9/5

僕が担当しているクラブの添削やカメラ誌などへの応募作品には、数年前に比べ随分デジタルプリントが増えてきた。フィルムをスキャンしてのものが大半だが、デジタルカメラで撮った作品も多くなってきている。しかし、プリントの仕上がりがよくないものが目立つ。また、デジタルプリントのペーパー(フォト紙)のヌメーとした感触が、どうも好きになれない。送ってきた作品の束(箱)を開けた時の、漂うインクの臭いも気になる。乾燥が不十分なせいだろうか。

言い方が変かも知れないが、作品として成り立つレベルでのプリント技術は、素人とプロでは雲泥の差がある。しかし、だからと言って、これらの方達がプロラボに依頼するとは思えない。と言うことは、結果的には作品の表現レベルが落ちる原因にもなってくるだろう。折角、銀塩での研鑽によって高いレベルの作品創りが出来るようになったのに、デジタル世界にはまると逆の現象が起き始めることになる。安価で手軽で済むからと言う理由だけで、デジタルに移行して最後まで自分でプリントするのは、人によっては間違いであると思っている。

一方、自分で出力を行って、楽しんだり研究していると身に付くよいことも多い。画面全体の色調や濃度など、部分的な調整を自ら行うことで、光を見つめる目を養ったり、被写体の観察力も備わってくるからだ。銀塩の自家処理をする効用と似ている。また、プロラボへの注文の仕方なども分かってくるはずだ。

しかし、プロはプロ。最後はプロに任せるのがベストと考えている。撮る側とプリントするプロラボとの共同作業により、レベルの高い表現に結びつくからだ。もっと、もっとプロラボを利用して欲しい。(株)ドイ・テクニカルフォトでは、ラムダでの銀塩ペーパーへのプリントを結構安価で出してくれているようだ。だから、今回のような結果になってしまったのだろうか。

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