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 No.200

三輪 薫(みわ かおる)


No.200 『写す』/手動カメラ 2003/10/24

今月初めに行った北海道の撮影で、久しぶりにコンタックスRTSIIを使ってみた。改めて小型カメラの心地よさを感じさせてくれ、コンパクトで手に馴染むフィット感が嬉しかった。フィルムの自動装填やモーターによる送りや巻き戻しに慣れている現在では、全て手作業で行う面倒はある。しかし、撮っている満足感がカメラを通して得られる幸せを感じていた。自動化された小型カメラの高級機種は、コンタックスでも中判カメラほど大きく重くなっている。デジタルカメラも同様である。しかし、フィルムに写るのは同じ面積で、だったらカメラは小さい方が何かとメリットが大きいと思っている。

カメラは写す道具であり、道具としての完成度や見た目の美しさや、使い手側の心に響く心地よいシャッター音なども重要である。また、フィルムで撮っているとデジタルカメラのように撮影後に確認し、ダメだったら即撮り直すこともできないため、撮影時の緊張感も高い。ムービーでもビデオカメラの前で演技しているより、フィルムを詰めたカメラの前のほうが役者の気持ちも高まるだろう。それよりも舞台では演じる側と観る側との直接的な繋がりがある。自分を高めて行くには、このような緊張感を抱くのは大切と思う。写真も同様である。

コンタックスやキヤノンのAE/AF化されたカメラを多く愛用しているが、旧式のカメラを何故か手放せないでいるのは、多分カメラから発散される道具としての魅力が遙かに大きいからだろう。何時の日にか、もう一度この様なカメラで不自由を楽しみながら作品創りに邁進することも悪くはないと思っている。現在黒白撮影専用に愛用中のコンタックスS2や、厳寒の撮影地にしか出番がないキヤノンF1やM型ライカはメカニカルカメラである。世の中便利になるほど逆から受ける心地よさや満足感も高くなるような気もするがどうだろうか。

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