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 No.201

三輪 薫(みわ かおる)


No.201 『写す』/古くても新鮮なカメラの魅力 2003/11/6

最近、30年来の念願であったハッセルブラッド905SWCを入手した。長年の写真家人生を真面目に生きてきたと思い、自分への御褒美に購入した。作品創りへの機材には糸目を付けないのが僕流の機材購入。しかし、思うように買い続けることが出来ないのも事実である。だからこそ、長年熱い思いを寄せてきた機材を入手できた時の喜びは大きい。

ハッセルブラッドにはもう一つ欲しいものがある。250mmゾナー・スーパーアクロマートである。しかし、今回はいくらなんでも断念せざるをえなかった。最近では、8×10インチ判カメラ同様、小型カメラの標準ズームレンズ域の焦点距離で撮ることが多くなっていることもあり、断念の理由にと思い込ませている。と言っても、本当の理由は予算的に厳しいからだ。

コンタックス645が発売され、嬉しかったのがディスタゴン35mmがあったことだ。同じツアイスレンズで、ハッセルではSWCか40mmしかこの様な広角レンズはなく、入手するには余りにも高額すぎた。しかし、コンタックスではSWCなどに比べ半値にも届かない格安であったからである。

SWCはレンズがボディーと一体となっており、ミラーもないため、外付けのファインダーを利用する。しかし、余りにも広角過ぎてしっかりとフレーミングしなければならない風景などの撮影にはお薦めできない。フィルムバックを外し、ピントグラスを付け、そこにプリズムファインダーなどを装着して覗くことになる。一見面倒だが、ビューカメラに慣れているため、逆像でも心地よさを感じてくるから不思議である。撮影が年々簡単になっている今日では、この様な面倒なプロセスを経て撮ることの楽しさと喜びもある。

しかし、ハッセルブラッドは、30年も使い続けているのに、一向に古さを感じなく、機材全体がまだまだ新品に近く見えるから不思議だ。勿論、塗装の傷が目立つブラックではなく、クロームタイプのことである。実はレンズも初期のギザギザタイプの白が好きなのだが、程度がよいものは中古市場でも少なく、また、修理代もバカにならないのが残念である。しかし、ハッセルに最も似合うのは、クロームボディーにギザギザの白レンズなのだと思っている。最近ではハッセルフォトクラブの講師も務めているが、30年前頃の写真学校に勤務時代の教え子であった事務局長も悩む、販促にはお役にたてない志を抱いている講師となっているようだ。しかし、905SWCを入手したことで帳消しとはならなくとも、納得はしてくれていると思っている。

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