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 No.210

三輪 薫(みわ かおる)


No.210 『写す』/デジタルプリント展「風色-II」 2004/1/17

19日から始まる個展の搬入も無事終わった。今回の個展は昨年開催した「風香」に続く和紙に出力したデジタルプリント展の第二弾である。前回はカラーリバーサルフィルムをドラムスキャンしてインクジェットプリンタで出力したが、今回はレンズ交換式のデジタルカメラEOS D30/D60/10Dで撮った、入り口から出口までの全てをデジタルで行う。勿論、メディアは和紙であり、今回は昨年開催の「風香」展のきっかけと協賛をいただいた大豐和紙工業(株)の伊勢和紙だけで行い、新しく開発の銘柄も使っている。今回も協賛を頂き、大変嬉しく感謝している。

僕は、デジタル写真では入り口が銀塩のフィルムであろうとデジタルカメラであろうと、印画紙のようなペーパーにプリントする気はなく、魅力を感じていない。アナログでは出来ないデジタルならではの表現をしてこそ、銀塩世界とは違うデジタル写真ならではの意義があると確信と期待をしているからだ。

また、入り口が銀塩のフィルムであるのと、デジタルとの違いもはっきりと確認しておきたかった。今回の個展の準備である程度は分かってきたが、会場にいて会期中毎日自分の作品を眺めていると、きっとその違いも明確に把握できそうな気がする。だからこそ、大枚はたいて個展を開催する意味があり、個展は自分で自分の作品を眺め続けることで、作風や表現を再確認できるよさがある。

勿論、開催するからには、多くの人々に観ていただきたいと思う。アナログの権化と自負する僕がデジタル世界に身を染めて創り上げた作品に、皆さんがどのような反応を示してくれるのかも楽しみであるからだ。今回は2年前に開催した銀塩ペーパーでの「風色」を、一歩も二歩も僕が求める『カメラで日本画を描く』作風に近づけた。昨年開催の「風香」とは一味違う、全体的に画面のトーンが明るく、清楚な雰囲気が漂う作品をセレクトしている。

銀座キヤノンサロンは会場から道路が見える一階にあり、ソフトながらも外光が入り、天候や時間の経過によって見え方や感じ方が変わってくるギャラリーだ。今年4回開催する第一弾の個展。是非、何度も会場に来て、その違いを観て、感じていただきたいと願っている。

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