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 No.211

三輪 薫(みわ かおる)


No.211 『写す』/デジタルプリント展「風色-II」-2 2004/1/25

今回の「風色-II」展は、昨年開催の「風香」展に続いての和紙に出力したデジタルプリント展だったが、最も違っていたのが来場者数だった。初日に自宅を出る頃には一面の雪世界だったにもかかわらず、午前中に早くも多くの方が来てくれた。日を追う毎に来場者が増え、最終日の土曜日には開館時間が2時間も少ないにもかかわらず、最も多くの方々で会場が溢れ返っていた。

やはりギャラリーが銀座のせいだろうか。「風香」展を見てくれた人も多く来てくれたようだ。また、来場者の滞在時間が実に長かったのも印象的だった。だから入れ替わっているはずなのに多くの人で溢れていたのだろうと思っている。数回来た人も意外と多かった気がする。もう一度見ておきたいと、友人知人を誘ってきてくれた人も多い。嬉しいことである。また、前回の「風色」展に比べ、キヤノン(株)、キヤノン販売(株)の方達も実に多かった。写真界のデジタルをリードしているからだろうか。しかし、僕が求める他の方とは違うデジタル世界を知っていただけたと思っている。

デジタルとは言え、銀塩と同じようなことをデジタルで行っている写真展が大半の中で、和紙に出力するというキヤノンサロンでは多分初めてのデジタル展であったのが大きな理由だろうと思っている。「風香」展の京都のギャラリーは広く、落ち着いて作品を眺めることが出来た。六本木のAXISギャラリーも広く、デザインギャラリーらしく洒落た造りの会場だった。あえて言えば、これらの会場のほうが作品が映えて見えた。しかし、地の利の関係だろうが残念ながら来場者は少なかった。

今回の個展は、落ち着いた風情感を引きだした、おとなしい表情や色の淡い姿の日本の自然風景である。ちまたに溢れるインパクトのある描写をした写真ではなく、作風と和紙への出力によって日本画や水彩画に近い世界をカメラで描いたものだった。僕が作家としてデビューした黒白の心象風景展では内容は誉められたが、画面を1:2にして見せたためか批判もあった。今回は写真であって写真ではない世界で表したが、素直に受け止めてくれる人達にはおおむね分かっていただき、好感を持って見ていただけたような気がするが、写真界の人達がどのような反応を示してくれるか楽しみでもある。

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