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 No.214

三輪 薫(みわ かおる)


No.214 『旅』/宿の現状 2004/2/20

仕事柄、様々な宿に泊まる機会が多い。一般的には民宿、ペンション、旅館やホテルの順で高額になる。ペンションは部屋が多少狭くても旅館やホテルより安価で、有名観光地には多く営業している。僕も何度も泊まったことがあるが、一番困るのは食事時間である。撮影に行く時に泊まることが大半なので、季節によっては朝夕の撮影時間と食事時間が重なることがある。しかし、要望に応えてくれる融通の効くところは少なく、自分の所のシステムを押し通すところが多い気がする。お願いしても、あっさり「お断り」と言われたこともある。

だからと言うわけではないが、現在ペンションが衰退している観光地も多いと聞く。宿はサービス業である。確かに個々に対応するのは面倒には違いないが、写真を撮っている者は一度だけの客ではなく、気に入れば四季折々に何度も泊まる常連客になる可能性が高い。融通の効く嬉しい宿には、クラブ撮影会でご案内したり、カメラ誌などに紹介記事を書くこともある。写真好きな方々も同じで、気に入れば仲間を連れてくる。無報酬の広報係をバッサリ切り捨てていることに気がつかないオーナーが多いのに呆れている。心を込めてもてなしてくれる嬉しい宿を知りたいものだ。

しかし、不景気時代の今、シーズンオフにはホテルと言っても随分安価な料金設定をしている。ペンション並みかそれより安価な場合も今や珍しくないほどである。利用者には嬉しいことであるが、心配もしてしまう。同じ料金なら部屋が広く、お風呂も大きい方が気持ちよい。今年に行った大きなスキー場がある観光地でも、週末のゲレンデが閑散としていて、当然ホテルなどの宿やレストランも空いていた。バブル時代に溢れていた観光客は何処に行ってしまったのだろうか。

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