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 No.218

三輪 薫(みわ かおる)


No.218 『生きる』/おかしな日本と日本人 2004/4/12

昨夜、イラクで拘束された3人のことで、支援要請の長文のメールが届いた。

現在の日本は少しばかりか、随分おかしな方向に突き進んでいるように思え、危惧している。まるで今をときめくタレントに群がるように、熱狂的な支持を取り付けて誕生した首相が現れてからである。次々と成立するおかしな法律。まるで日本がアメリカの属国になってしまったかのような政府の振る舞い。そしてイラクへの自衛隊の派遣。実態を知らないで派遣を賛成する若人達や支持者達。

その自衛隊への派遣で、何故か涙を流す隊員の家族達がいる。実に不思議な光景だった。自衛隊員は徴兵制で募った人達ではなく、職業の自由で選択した人達である。泣くくらいなら、自衛隊を辞めさせれば済むことである。この派遣費用、つまり出張手当が隊員一人当たり月に100万円とか聞いたことがあり、家族にとっては莫大な収入になる。本当であれば嘘っぽい涙としか思えない。夫を愛し、イラクに行く子供が可愛ければ、どのようなことがあっても反対し、絶対行かせないだろう。戦地に安全な所などなく、戦争の実体験を積んでいない隊員達が現実の戦いに巻き込まれたら、どのように対処するのだろう。もはや、このような場所に出会った隊員達にとっては、憲法九条など問題にはならないと思う。

今の政治家は、与党議員は当然ながら、野党議員もイラクの現実を把握していると思っている。しかし、本当のことは口をつぐんでいるような気がしてならない。ジャーナリズムも同様と勘ぐっている。

軍服を着て銃器を持った人達が、莫大な経費を掛けたに見合うイラクの人達への貢献や支援を、果たして現地で行えるのだろうか。これだけの支援金を民間委託で有効に使ったら、職を求める現地のイラク人達はどれほど助かり、荒れた国の復興に役立つか目に見えている。

一方では、こんな世の中になってきていると言うのに、唯一の国政参加である選挙権の放棄が生む政治への無関心。海外での選挙や、何かあった時の民衆の行動力などを観ていると、日本人は醒めているのか、諦めているのか、政治に関わることを恐れているのか、よく分からない。思っていても、言わないのが美徳と考えているのが日本人なのだろうか。かく言う僕もその内の一人であるからだ。選挙に行く度に感じる空しさは、何時晴れるのだろうか。

しかし、そんなことはお構いなく、実に平和で安全なことに変わりないのが日本だから幸せである、と言うのが現実だろう。だからこそ、悪循環も付きまとってくる。

イラクで誘拐された人達は、いまだに解放されていない。外交下手な日本だが、無事を祈るのみです。

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