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 No.219

三輪 薫(みわ かおる)


No.219 『生きる』/幸せすぎる日本 2004/4/15

昨夜、イラクで拘束されていた3人が無事解放されたことを、テレビのニュースで知った。大事に至らなく、本当によかったと思う。

最近の新聞やテレビでは、イラク問題が大きく取り上げられることが多くなっている。しかし、今の日本での暮らしは不景気風も収まったとは考えられないが、平和で幸せな日々を過ごすことが出来きているだろう。勿論、人によってはリストラや、企業倒産もあり、厳しい現実もある。だからと言ってイラクのように日々戦渦に巻き込まれ、罪のない人々が多く殺され続けているわけではなく、海外でのような飢え死になどあり得ない国なのだ。こんなに幸せなことは他にはないと思っている。

しかし、この幸せをのんびりと噛みしめながら暮らすのではなく、敢えて戦渦の渦巻くイラクなどへと問題意識を持って行く人もいる。イラクは現在の最も危険な国で、行くのは自重しなければならないと警告しているのだから、行って誘拐されても誘拐される方が悪い、運がないのだという、考え方もある。しかし、じっとしていることが出来ず、そのような危険な所に行くことは、並みの人間にできることではない。

優柔不断で、体制には反抗しない国民性を利用して銃器を持って自衛隊を派遣したことへの反対は、まだまだ少ないように思う。派遣した途端に賛成派が増える奇妙な国、いや国民である。自衛隊の撤退は、頂上を目指した雪山の登山と似ているかも知れない。引き返す決断や勇気も時には必要だろう。日本にとっての最後の戦争も、軍部にこのような決断があれば、どれだけ多くの国民の生命を守ことが出来たか、当時の軍部にいた人達は当然ながら分かっていたはずである。しかし、数十万人くらいの犠牲など素知らぬ顔で、つまらない意地を貫いたことが、今の時代でも教訓として生きていない気がする。その教訓を生かしていない政府や政党のやり方に同調する人が余りにも多いのも嘆かわしい。実に不思議な国、国民であると思っている。

イラクを憂える気持や問題意識は持ち合わせていても、今回誘拐された方のようにイラクまで行く勇気がない僕であるが、生きるための生活には必要でないかも知れない仕事をしながら日々暮らしている僕も含めた多くの人達がいる。このような生活ができる平和な日本を、嬉しく幸せに思っている。しかし、生活には衣食住の最低限のものだけ足りればよいというものではない。大切なのは心の潤いなのだと信じている。勿論、平和あってのことだが。

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