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 No.230

三輪 薫(みわ かおる)


No.230 『写す』/愛機 2004/7/22

学研「カメラGET!」28号(6/18発売号)の巻頭企画の「写真家30人が語る『私の愛機』」という大特集は、所有するカメラの中から、一生ずっと持っていたく、愛用を続けたい1台を選び、その思い入れなどを綴る企画のページだ。

現在、急激な勢いでデジタルカメラが普及しだし、大型店のブースにはデジタルカメラが氾濫し、銀塩カメラは隅に追いやられているのが現状である。しかし、数十万円もしたデジタルカメラでも1年くらいでスペックが充実した次機種が発売になり、その度に買い換えたくなる。同レベルの機種は安価になるとはいえ、次々と発売になる次機種を追いかけざるを得ないこのようなデジタルカメラへ注ぐ愛着は実に短命である。最近では3台も買い続けてきたためか費用的にも限界が来て、600万画素のカメラでも現在メインとしている和紙プリントには全倍プリントでも不足を感じなく、買い控えているのが現状である。

暫くは、愛機と呼ぶにふさわしいデジタルカメラなど現れなく、高価なカメラであってもカメラと言うよりも電化製品で、使い捨て感覚に等しい覚悟がないと購入には踏み切れない悲しさがある。余程売れないとメーカーも大変である。デジタルカメラの進化は早く、次機種の開発費と現行機種販売の利益とのいたちごっこを繰り返し、一旦つまずくとメーカーとして立ち行かなくなるだろう。

写真の世界に入り35年を過ぎようとしているが、自分の作品創りに合ったカメラを買い求め続けてきたら、いつの間にか自分でも驚くほどの数になっている。しかし、これらのカメラは現在の実に短命なデジタルカメラに比べ、長年愛用したい、したくなるカメラであり、大半が愛機と呼ぶにふさわしいものである。自分の心を託すことができてこそ「愛機」と呼ぶにふさわしいカメラと言える。僕にとって愛機と呼べるカメラの代表は、数ある中でもやはり「HASSELBLAD」。それも、現機種ではなく、僕が初めて手に入れた「HASSELBLAD 500CM」。勿論、ボディーはクロームでウエストレベルファインダー。レンズは白のギザギザタイプ。この組み合わせを越えた美しいデザインのHASSELBLADはないと思っている。30年使い続けてきたとは到底思えない、実にきれいな姿を保っている。二眼レフのローライフレックスやM 型ライカも同様の思いを抱くカメラだ。

しかし、この特集に登場のカメラでHASSELBLADは僕一人。二眼レフのローライも一人。何とM型ライカは誰もいなかった。国産カメラでは、初期のニコンFや、僕の愛機であるキヤノンF1やコンタックスRTSも同様だった。

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