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 No.235

三輪 薫(みわ かおる)


No.235 『生きる』/通販と小売店 2004/8/21

最近では、TVでの通販番組の放映が増えている。また、写真機材・用品、事務用品などもインターネットを活用した通販で購入もでき、結構利用している。品物の詳細が分かっているものに関しては、店に行かずとも同じ金額で買える便利さは特筆もので、時間や交通費を考えるとメリットは大きい。

午前中に発注すると早いと翌日には届く。しかも合計1万円以上の注文では送料も無料。発注した全てが揃わないときには個別に送ってくるが、数回に分けて送ってきても送料は全て無料だ。ポイント還元をしているショップでは後で還元され、結果は同じである。これでは、巷の小売店が益々大変なことになるだろう。

僕らの若い頃のカメラ店は、写真に関する「万相談所」であり、憩いの場所だった。写真談義をしたり、写真の撮り方や黒白プリント、フォトコンテストへの応募などへのアドバイスなどを与えてくれた。だから、多少高くてもソフトへの価値観を認めていたために通う写真愛好家も多かっただろう。

現在のカメラ店で、どれほどの店がそのようなアドバイスを行って、いや、行えるだろうか? 現在はそのようなソフトをお客に与えられる小売店が少ないようで、品物を売るだけのところが多いようだ。だから大型店に対抗できず、衰退するのだと思う。小売店は常連客を大切にしたソフトの充実にこそ備える努力をすべきだろう。

現在、関東地区に多くの店舗を持つカメラ店が主催し、フィルムメーカーが後援する「撮影会とセミナー」を依頼されているが、これも大型店とまでは言えないショップの対処だと思う。この店では、リバーサルフィルムの現像(E-6 処理)を店頭で行えるよう設備の充実を各店で図りつつある。東京のような大都市ならプロラボがあり、2時間もあれば現像も出来上がる。それと同じことをしようとしているのだから、都市を離れた地元の愛好家の方には嬉しいショップになる。

驚くのは、郊外だから可能かも知れないが、京セラ・コンタックスサロン銀座ほど広いスペースのギャラリー、30人近く入るセミナールーム、結構広いスタジオなどをショップに用意している。5月に佐賀県で個展を開催した所は、「わの会」会員の方が経営する田舎のカメラ店だが、銀座のキヤノンサロンくらいの壁面を持つ洒落たギャラリーがあり、作品をきちんと見せるために都内のギャラリー並みの立派な照明設備を整えている。別な壁面も用意され、唐津に近いためか陶芸家などの作品も常時展示されている。これらはソフトの充実を計る設備投資で、企業努力の結果だと思う。

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