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 No.237

三輪 薫(みわ かおる)


No.237 『写す』/「Rock」展 2004/8/31

9月2日から京セラ・コンタックスサロン銀座で始まる「Rock」展は21回目の個展で、この会場では10回目を迎える。1994年からはオリンピック開催年にカラー作品を、ワールドカップの年には黒白のファインプリント展を開催してきた。今年はカラー作品で、このカラープリントの個展では畳一枚分以上のサイズや、それに近い大きさに引き伸ばしたプリントをメインに展示してきた。

「大きいことは、いいことだ!」とは言わないが、写真は拡大して見せる表現世界である。しかし、内容や目的にもよるが、大きければよく、小さいから駄目と言うこともない。展示目的や作品内容、会場の空間などによって然るべきサイズがある。黒白のファインプリント展では六切から半切で収めているが、メインは四切である。今回の個展は海外で撮影した岩の風景で、目の当たりに見て感動して撮った世界を個展会場で臨場感豊かに伝えるには、半切や全紙くらいでは到底無理で、今回は今まで以上に大きなサイズにプリントした。搬入を終えた今、やはり大型プリントは気持ちがよく、撮ったときの感動が蘇ってくる。

報道やニュースで使われる写真は、トーン再現や印画紙から受けるマチエールなどは大して問題ではなく、映像そのものがものを言う。しかし、写真を作品として物語るためには、写真の本質を突いた画像をプリント上に再現してこそ、初めて作品と言えるのではないかと考えている。自分自身をさらけ出す個展を主体にして30 年以上も活動してきた。だからプリントには妥協したくなく、ラボの方にも無理難題を言い、自家処理しているモノクロ写真には十分すぎるほどのプリント時間と印画紙と薬品を用意して臨んでいる。

個展とは言いながらも、会場によってどのように見せるかも決まってくる。狭い会場にでかい作品を展示しても逆効果を生むこともある。会場の広さや雰囲気も考慮しながら最適な見せ方を決めている。毎回そのようなことを優先して準備するので予算オーバーとなり、個展終了後には四苦八苦することになる。以前監修した生徒さんの写真集のタイトルは「四楽八楽」。こうありたいと思うのだが、僕には生涯無理なことだろう。

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