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 No.245

三輪 薫(みわ かおる)


No.245 『自然』/世界遺産・屋久島 2004/11/12

屋久島を初めて訪れたのは25年くらい前だった。まだまだ観光化はされていなく、素朴な島だという印象が強かった。宿も少なく、レンタカーもなく、偶然知り合え滞在中お世話になっていた現地の方が自動車修理工場で借りてくれ、とても助かった。現在ではホテルなども増え、観光化の波によって年々宿泊料も高騰しているようだし、実に多くのレンタカーが島中を走り回っている。

ここ数年、毎年のように訪れているが、気のせいか少しずつ自然に生気がなくなってきているような感じがする。特に気軽に屋久島の原生林を楽しむことが出来るヤクスギランドなどは、普通の観光地のようにバスガイドさんに引率された多くの人達がぞろぞろと歩いている。およそ、この様な場所を歩くようなスタイルではない人達の姿も目立つ。

バスも次々と登ってくる。世界遺産の冠の威力は凄まじく、その内一大観光地となる日も近いと思われる。近年、マイカー規制を行う所が増え続けているが、屋久島もいずれは規制されるだろう。僕は撮影を目的に訪れているが、レンタカーで駆けずり回っているので大きなことは言えない。観光客と違うのは、一箇所での滞在時間が長いだけである。バスを下り立った人達は、眺め、記念写真を撮ったら添乗員に促されてそそくさと帰ってしまうようにも見受けられる。遊歩道も、のんびりと自然を楽しみながら歩くのではなく、急ぎ足で一列で行進しているようで面白い。

先日行っていた時、ザックを背負った外国のカップルの方が、海岸の道路をモクモクと歩いている姿に出合った。日本人よりも自然を満喫する術を知っているのだろう。僕も二十歳頃には、1週間から3週間くらいの旅を時々していた。大まかな目的地だけを定め、現地に着いたらフィット感があれば同じ土地で数日間ぼーと自然を眺めているような放浪の旅だった。気が向けば、てくてく、てくてくとリュックを担いで歩き続けていたものだ。今は懐かしい思い出となっている。

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