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 No.248

三輪 薫(みわ かおる)


No.248 『不思議に思うこと』/ギャラリー規約 2004/12/17

コダックフォトサロンで7日まで開催していた「わの会」展で、搬入を終えて会場を出た後、インクジェットプリンタで和紙と画材紙に出力した作品2点を外すようにと携帯に連絡があり、急遽会場に戻った。担当者立ち会いの下で撤去せざるを得なく、一部レイアウトを変更して展示し直した。僕が監修するグループ展や個展は、作品のセレクトと会場レイアウトを同時進行で行うため、2点とは言え抜けてしまうと全体のバランスが初期の想定通りにならないこともあり、その心配もあった。

確かに規約には「展示作品はコダック製品に限り、他社製品を搬入の場合、展示をお断りすることもあるのでご注意下さい」とあるが、現実には「お断りし、撤去します」だった。どうしてそのように明記しないのだろうか。コダックの印画紙でなかったのは、67点展示の内のたったの2点である。僕の考え方も甘かったが、文化の発信基地であるはずのギャラリーが、どうしてこの様な厳しさで臨み、作者の心を無視するような冷たい対応をとるのか疑問は残る。とても悲しく残念で、ショックな出来事だった。

しかし、この規約の下で、大半か全てのフィルムがフジクロームで開催した個展もあった。大半のフィルムは他社製品でもよいが、展示のプリントは全てコダック製品しか認めないという、どうにも納得できない不思議な規約である。他の日本の感材メーカーギャラリーも同様な規約のようであるが、コダックフォトサロンほど冷たく厳しくはないと思う。カメラメーカーギャラリーでは、他社のカメラで撮った作品でも開催を受け入れているところが大半である。

だが、折角の素晴らしい作品を展示できなかった責任は僕にあり、作者には経緯を説明し、陳謝した。しかし「幻の名作」にするには余りにも惜しく、地方からの出品者も含め大半が参加した12/4夜の懇親会会場で展示し、ご披露した。少なくとも会員には展示を拒否された素晴らしい作品を見ていただきたかったからである。この思いは今回の写真展担当の世話人も同様だった。

しかし、今回の件で救いもあった。搬入時に会場にいた本社の担当部署の方に事情を伝えたところ、懇親会の会場で作者の二人に、時代にそぐわない規約と対応であり、申し訳ないことだったと伝えてくれた。今回、会期中に展示が復活することはなかったが、現場の人達が感じていないことを、これらの人達は今回のことで気づいてくれた。今後は考え直し、善処してくれそうな気がする。

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