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 No.249

三輪 薫(みわ かおる)


No.249 『写す』/デジタル写真と銀塩写真の感材 2004/12/27

コダック社のフィルム・印画紙などの感材も減るばかりである。先日コダックフォトサロンで見たカラー写真展は銀塩ペーパーの手焼きダイレクトプリントで、とても仕上がりがよかった。同じラボでのラムダ出力によるプリントよりも数段見応えのあるプリントだと感じた。

しかし、このダイレクトプリント用ペーパー/ラディアンスも製造をうち切り、ケミカルもなくなるという。今後のコダックフォトサロンでのリバーサルフィルムによるカラー写真展は、ラムダ出力によるカラーネガペーパー/ウルトラエンデュラペーパーでのみ可能となる。この印画紙で手焼きに対応できるインターネガもなくなりそうで、銀塩の手焼きプリントを越えたクオリティーを引き出せるラムダに対応するペーパーを最低でも数銘柄はメーカーとして用意してほしい。そのように思うのは僕だけではないだろう。もう選択の余地がないコダック社の1銘柄だけの印画紙で、表現の多様性を考えた内容の写真展にするのは大変難しいと感じている。コダック社はデジタル時代に対してどのように考えているのだろうか。

現在の写真界はデジタル時代に突入し、インクジェットプリンタによる作品創りや写真展も増えている。コダックフォトサロンでこのようなプリント作品の展示が駄目という前に、規約にうたう以上デジタル作品創りにも対応できる多くの銘柄のデジタル用紙も用意してほしい。以前には発売していたのに、現在のようなデジタル時代になって用意していないのは理解できない。デジタル分野にも参入し、今年の夏期の売上が前年比の4倍にもなっている世界のコダック社なのだから、写真展には日本のメーカーギャラリーのようにもっと鷹揚な姿勢で対応してもよいのではと思ってしまう。現場の担当者も時代に沿った規約と対応を所轄の部署にどうして提案できないのだろうか。

今やコダック製品愛用者が少数派になってしまったようだが、僕が常用するコダックの黒白フィルム数銘柄と印画紙も完全に製造中止になってしまった。黒白写真のファインプリント用バライタ印画紙は在庫されていなく、アメリカから取り寄せであるという。しかも個人が買えるほどの少量では発注できない。コダック派の僕には、これからどのようにして銀塩での黒白作品創作に取り組めばよいのか困惑している。取り敢えずは買い込んでいるフィルムと印画紙が冷蔵庫にある間は大丈夫だが、それもいつまで持つのか時間の問題である。

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